昭和電工2018年12月期連結決算、大幅増収増益

 昭和電工の2018年12月期連結決算は、売上高9921億3600万円(前期比27・1%増)、営業利益1800億0300万円(同131・6%増)、経常利益1788億0400万円(同180・0%増)、純利益1115億0300万円(同198・1%増)だった。

 セグメント別では産業ガス事業を含む化学品セグメントの売上高が1565億4100万円(前期比5・2%増、77億8200万円の増加)、営業利益が173億9300万円(同5・6%増、9億1900万円の増加)となった。液化アンモニアの生産は前期に比べ小幅に減少したが、電子材料用高純度ガスの生産は増加した。基礎化学品事業は増収、情報電子化学品事業は、半導体・ディスプレイ業界の増産に伴い電子材料用高純度ガスの出荷が増加し増収となった。産業ガス事業は炭酸ガス・ドライアイスの数量増により、また機能性化学品事業は原料価格上昇を受けた販売価格の上昇により、それぞれ増収となった。

 化学品セグメントでは、高純度臭化水素(HBr)の生産能力を年産600トンから1.5倍となる同900トンに引き上げ、2018年3月に生産を開始した。HBrは、DRAMやNAND型フラッシュメモリ等の半導体製造工程においてポリシリコンの微細加工(エッチング)に使用される電子材料用ガスで、IoTやビッグデータ、自動運転等の加速に伴う半導体市場の拡大により、需要が増加している。世界の電子部品・材料業界の需要拡大に迅速に対応し、今後とも本事業の強化・拡大を図る。
 また、電子材料用高純度ガスの中国子会社が第2営業拠点を設立し、中国における電子材料用高純度ガス事業を強化した。「上海昭和化学品有限公司」(上海市)の分公司として「上海昭和化学品有限公司武漢分公司」を2018年3月に武漢市に設立した。世界的な電子機器需要の拡大と中国政府による産業育成策により、中国では半導体・ディスプレイ市場が急成長している。これまでは電子材料用高純度ガスを上海より中国国内のユーザーに出荷していたが、華中地区で大規模な工場建設が相次いでいることから武漢市に倉庫を保有する営業拠点を設立したもの。顧客業界の拡大を受けた中国各地区における本事業の拡大に向け、引き続き販売・物流拠点の整備を進めていくとしている。

 次期2019年12月期の連結業績予想は、売上高1兆1000億円(前期比10・9%増)、営業利益1900億円(同5・6%増)、経常利益1850億円(同3・5%増)、純利益1200億円(同7・6%増)を見込む。化学品セグメントの売上高予想は前期から95億円増の1660億円、営業利益予想が同24億円減の150億円とした。売上では産業ガスは前年並み、情報電子化学品は数量増だが上期踊り場と予想している。営業利益では産業ガスは前年並み、情報電子化学品は小幅増益とした。