大陽日酸、凍結バッグ収納に対応した細胞全自動凍結保存システムを開発

 大陽日酸は、凍結バッグ収納に対応した細胞全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ アドバンス」を開発した。2019年4月より販売を開始する。

クライオライブラリー アドバンス
凍結バッグ収納対応 細胞全自動凍結保存システム 「クライオライブラリーⓇ アドバンス」

 大陽日酸は、液体窒素を利用した各種の極低温装置や全自動型の凍結保存装置でこれまで培った技術をもとに、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ヒト幹細胞産業応用促進基盤技術開発」等のプロジェクトに参画してきた。プロジェクトでは、国立成育医療研究センター研究所と共同研究を行い、2013 年に iPS 細胞用全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ(CAPS-i3000)」(以下、CL)を発売、2015 年には、CL と比べバイアル収納数が3倍で液体窒素消費量を半分に抑えたバイアルボックス収納対応全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ アドバンス」(以下、ボックス収納 CLA)の販売を開始している。
 今後、細胞性医薬品のパッケージには凍結バッグが採用されるようになることが見込まれており、ユーザーからの要望に応えるため、プロジェクト参画で得た技術を継承し自社で発展させ、今回、凍結バッグ収納対応全自動凍結保存システム「クライオライブラリーⓇ アドバンス」(以下、バッグ収納 CLA)を開発したもの。

※凍結バッグ:内容量 25cc の凍結バッグ
※バイアル:樹脂製の凍結試料保存チューブ

 現在販売している自動凍結保存システムの収納数は、CL で2cc バイアル 3,000 本以上、ボックス収納 CLA で1cc バイアル 16,000 本以上もしくは2cc バイアル 10,000 本以上となる。どちらも試料を安心・安全に取り扱うためバイアルに貼り付けた1次元・2次元コード情報を専用ソフトで管理することで取り違いを防止。また、試料を自動搬送することで低温の窒素ガスや液体窒素雰囲気の凍結保存容器内に直接手を入れる必要がなく、作業者を凍傷や酸欠の危険から守る。
 バッグ収納 CLA は従来機と同サイズを維持しつつ、臍帯血バンクで広く用いられている凍結バッグ(25cc)の保存が可能。

 主な特徴は以下のとおり。
・バイアル(2cc)のおよそ 12 本分の内容積をもつ凍結バッグを 1,200 枚収納可能(試料保存量はボックス型収納 CLA の約2倍)
・2次元コードを自動識別し、試料の入-出庫を専用ソフトで一元管理
・1バッグ単位で取り出すため、他試料の不要な昇温ダメージを抑制
・出庫時には独自の保冷機構により試料昇温を抑制
・液体窒素の蒸発量は5L/日以下で、非常時には 20 日間以上-150℃以下を保持可能

 また、ボックス収納 CLA と同様に、装置のコンパクト設計により設置場所での搬入経路、荷物用エレベータや搬入扉の高さ制限をクリアしており、容器とロボット部を分解せずに搬入・据付が可能で、据付に要する時間、コストを低減する。

【バッグ収納 CLA 主仕様】

外形寸法(mm)W1,250×D1,495×H1,970
保存方式、温度-150℃以下(液体窒素気相保存)
試料収納数1,200 枚(25cc 凍結バッグ)※アルミプロテクタ含
液体窒素蒸発量(容器単体)5L/day
停電時温度保持20 日以上