小池酸素工業、2020年3月期連結決算

 小池酸素工業の2020年3月期(2019年4月~2020年3月)の連結決算は、売上高433億3000万円(前年同期比6.2%減)、営業利益7億7000万円(同20.2%減)、経常利益10億2200万円(同15.6%減)、親会社株主に帰属する純利益2億7800万円(同45.9%減)だった。配当金は普通配当60円を維持した。

 グループの主需要先である産業機械業界・造船業界では市況の低迷が続き、建設業界では需要に回復の動きが見られたものの、労働者不足や建設コストの上昇による影響が懸念され、厳しい状況で推移した。
 加えて、当年度終盤には新型コロナウイルス感染症が全世界へ拡大したことにより、国内外の経済活動に大きな影響を及ぼしており、景気減速の傾向が強まった。
 世界市場での顧客満足の実現に向けた拡販活動の推進や収益力の強化に取り組んだが、その効果は限定的なものとなった。

セグメント業績

【機械装置部門】2019KOIKEプライベートフェアを始めとした展示会の開催などにより拡販活動の強化に取り組んだが、産業機械業界・造船業界などの主需要先の市況が低調に推移したことや価格競争の激化などにより、売上高は減少した。売上高は167億9900万円(前期比9.2%減)、セグメント利益は7億8800万円(同17.5%減)。

【高圧ガス部門】医療分野では酸素濃縮器およびCPAPのレンタル契約件数が増加したが、ヘリウムの需給逼迫による影響や産業ガスの市場動向が低調に推移したことなどにより、売上高は減少した。また、物流コストの増加による原価の上昇や安全対策として容器への継続投資により、利益は減少した。売上高は163億8600万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は5億2900万円(同23.8%減)。

【溶接機材部門】アタック2020トライアスロンセールによる営業強化に努めたが、消耗品・溶接材料の需要の鈍化や大型設備の受注の減少などにより売上高は低調に推移した。一方で、省力化および機械装置との一体販売による溶接プロセス改善提案の強化やLED天井灯・メタルスライダーなどの特徴ある新商材を市場投入し拡販に努め、利益は増加した。売上高は93億1500万円(前期比5.8%減)、セグメント利益は3億1600万円(同5.4%増)。

【その他の部門】新たな市場へ新商品のヘリウム回収精製装置を販売することができたものの、中国市場において液晶関連企業の設備投資が鈍化したことにより、排ガス処理装置関連の売上高が大幅に減少した。売上高は8億2700万円(前期比25.4%減)、セグメント利益は6600万円(同59.5%減)。

今後の見通し

 機械装置部門は、働き方改革を背景とした省力化に対するニーズに応える新製品・新機能の開発を推進するとともに、ガス・溶接・切断の一体販売や新型ファイバーレーザー切断機のPRを中心とした拡販活動の強化に取り組む。また、海外拠点も含めた組織強化や人材育成を推進し、収益向上に向けた体制を強化する。
 高圧ガス部門は、ガス・溶接・切断の一体販売の推進や新たに開発した溶接用混合ガスの拡販活動などにより、新規顧客の獲得に努める。また、物流体制の合理化や老朽化したガス充填工場の再構築を推進し、原価低減や安全の確保を徹底する。
 医療分野は、新型コロナウイルス感染症対策として手指消毒剤、パルスオキシメーター、酸素流量計、ディスポーザブル吸引器の拡販活動の強化や消耗品の原価低減に取り組むとともに、中国やインドネシアなどアジアを中心とした海外市場の開拓に努める。
 溶接機材部門は、「アタック2020トライアスロンセール」による拡販や安全講習会の推進を継続するとともに、各種新商材の投入と効率化に繋がる提案やガス・溶接機器の一体販売強化により新規顧客の獲得および新市場を開拓する。
 その他の部門は、排ガス処理装置やヘリウム関連機器について新製品開発を推進し、拡販活動に取り組む。

 2021年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルスによる影響を現時点において合理的に算出することが困難であることから未定とした。年間配当予想は普通配当50円の10円の減配とした。