岩谷産業と関東商事、マイナス75℃でワクチンの輸送・保管が可能な保冷箱を開発

ドライアイスに触れずに出し入れが容易な引き出し方式(特許出願中)を採用

 岩谷産業株式会社(本社:大阪・東京、社長:間島寬、資本金:350 億円)は、ワクチンや医薬品等の保管・輸送に備えてマイナス 75℃±15℃を約 10 日間長期保持できる保冷箱の販売を開始する。医薬品の保管エリアを引き出し方式とし、医療機関における出し入れを容易にしたことが特徴。また、小型タイプで 7 日間保持できるタイプも発売予定としている。

マイナス 75℃±15℃を約 10 日間長期保持できる「輸送・保管用保冷箱」
マイナス 75℃±15℃を約 10 日間長期保持できる「輸送・保管用保冷箱」

 ワクチンや医薬品は輸送先の医療機関等で何度も保冷箱から出し入れする必要があるが、従来の保冷箱では出し入れ作業の際に製品を覆っているドライアイスを避ける必要があり、作業面や安全面での課題があった。岩谷産業はこの課題に着目し、作業者がドライアイスに触れることなく保冷箱から製品を出し入れすることが可能な構造を協力会社である関東商事株式会社と共同開発し特許出願を行った。

 また、これら輸送・保管時には厳格な温度管理や位置情報管理が求められる場合が多いため、顧客ニーズにあわせて保冷箱内の温度や位置情報をスマホやパソコンで常時監視できる温度ロガーを含めた温度管理ソリューションも合わせて提案する。

 新型コロナウイルスのファイザー社製ワクチンは、-75℃前後の超低温管理が求められており、国内の倉庫ではディープフリーザー(超低温対応冷凍庫)で保管されるが、基本型接種施設と呼ばれる医療機関などでディープフリーザーが設置されていない場合はドライアイス入りの保冷ボックスでの管理が想定されている。