「高圧ガス保安法施行令の一部を改正する政令案」を閣議決定

冷凍設備で用いるヘリウム等冷媒の規制を緩和

 経済産業省は、高圧ガス保安法が適用される冷凍設備内の高圧ガスのうち、高圧ガスとしての燃焼性リスクが小さいヘリウム等のガスについて、燃焼性リスクが同様に小さいガス(二酸化炭素等)と同等の規制となるよう、規制を緩和する。これにより、ヘリウム等冷媒を用いる冷凍設備の利用に際しての手続が、簡素化・不要化される。本改正は令和3年10月27日(水曜日)に施行。
(※)ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、空気

政令案の概要

 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号。以下「高圧法」)は、高圧ガス(圧力1メガパスカル(約10気圧)以上の圧縮ガス等)の製造、貯蔵、販売その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制するとともに、民間事業者及び高圧ガス保安協会による自主的な保安活動を促進することにより、高圧ガスによる燃焼、爆発等といった災害を防止し、公共の安全を確保することを目的として制定された法律。

 昨今、超低温(摂氏マイナス50度よりも低い温度)環境を制御できる冷凍設備において、ヘリウム等が新たに用いられ始めている。それらのガスは冷媒ガスとしての使用が想定されていなかったため、燃焼性や毒性が極めて弱く高圧ガスとしてのリスクが小さいにも関わらず、現行法令では、燃焼性が強く取扱いに注意が必要なガス(可燃性ガス)と同様の規制がかかっており、許認可等に係る手続のコストが、国内の冷凍設備メーカーにとって技術開発等における障壁となっていた。

 今回の改正により、冷凍設備内で使用される高圧ガスのうち、高圧ガスとしての燃焼性リスクが小さいヘリウム等のガスについて、燃焼性リスクが同様に小さいガス(二酸化炭素等)と同等の規制となるよう、規制を緩和する。

改正内容

 冷凍設備内で使用されるヘリウム等について、以下のとおり規制を緩和する。

 現行改正後
適用を受けない範囲冷凍能力3トン未満冷凍能力5トン未満
高圧法の適用を受けない範囲を拡大

※冷凍能力1トン=0℃の水1トンを24時間費やして0℃の氷にする冷凍設備の能力

 現行改正後
許可の対象外の範囲冷凍能力20トン未満冷凍能力50トン未満
届出の対象外の範囲冷凍能力3トン未満冷凍能力20トン未満
製造に係る許可又は届出の対象とならない範囲を拡大