インドネシアのG20イベントで次世代高圧ガス容器「CubiTan(キュビタン)」を展示

パイプラインによらないガスのスマートグリッド構築を実現

 株式会社Atomisと八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、高橋努 代表取締役社長執行役員)は、2022年10月27日~30日までインドネシアでG20科学技術イノベーション大臣会合のサイドイベントとして開催された「InaRI Expo 2022(Indonesia Resarch and Innovation Expo 2022)」の日本政府ブースで、Atomis社が開発している次世代高圧ガス容器「CubiTan(キュビタン)」を使った新たなガス流通システム構想の展示を行った。

次世代高圧ガス容器「CubiTan」
次世代高圧ガス容器「CubiTan」(右)

 本構想は、より快適な暮らしを創るため、スマートガスネットワークを構築するもの。

 一般家庭で使用されるガスは、パイプラインを通じて気体のガスを供給する「都市ガス(メタンが主成分)」と、圧縮したガスをボンベに詰めて事業者が配送する「プロパンガス(プロパン・ブタンが主成分)」が用いられるが、日本でも都市部を除いた多くが後者の「プロパンガス」を使用している。

 メタンガスの液化はプロパンガスに比べて非常に難易度が高く、ガスの配送には重く大きいガスボンベを利用する必要があり、その方式は約100年間変わっていない。

 Atomis社が開発している次世代高圧ガス容器CubiTanは多孔性配位高分子(PCP/MOF)を使用して、今まで圧縮が難しかったメタンガスをナノレベルでコントロールすることが可能とされる。これにより、今まで非常に重く大きいガスボンベの小型化・軽量化というイノベーションが実現する。

 本構想では、八千代エンジニヤリングとAtomis社の共創により、「配送の最適・省資源化」や「残容量把握による利用者の利便性向上」によるパイプラインによらないガスのスマートグリッド構築を実現するとしている。

スマートガスネットワーク構想
スマートガスネットワーク構想

 八千代エンジニヤリングは、国内トップクラスの総合建設コンサルタントとして、国土交通省をはじめ官公庁から公共事業を受託し、社会インフラや環境保全に関する技術コンサルティングサービスを設立より約60年にわたって提供している。近年は、これまで培った技術ノウハウを民間企業へも提供しビジネスの領域を広げている。

多孔性配位高分子(PCP/MOF)

 多孔性配位高分子(PCP)は金属有機構造体(MOF)と呼ばれ、京都大学高等研究院iCeMS北川進特別教授が1997年に世界に先駆けて開発したもの。金属と有機化合物が規則性を持ち連続的に三次元構造体を形成し、ナノレベルに制御された多孔性を有する物質の総称となる。この分子はマルチファンクションを持つのが特徴で、この機能を利用し、幅広い産業での活躍が期待されている。