日本製鉄、高炉水素還元技術で世界最高水準のCO2排出量33%削減

「Super COURSE50」の試験炉で加熱水素吹込み、排出量50%以上削減を目指す

 日本製鉄は東日本製鉄所君津地区の水素還元試験炉(内容積12m3)において、加熱した水素を使用してCO2 を削減するSuper COURSE50 技術の試験で、世界最高水準を更新する高炉本体からのCO2 排出量33%の削減を確認した。開発試験は、2023 年11 月から12 月に実施した。

 日本製鉄は2022 年5 月から、Super COURSE50 技術の開発試験を実施し、これまでに世界最高水準となる高炉本体からのCO排出量22%削減を確認していた。今回の試験では、酸化鉄(鉄鉱石)の炭素還元に替えて水素還元(吸熱反応)を増やしていく際に、加熱した水素利用により高炉内の熱バランスを維持し、高炉CO2 排出量の削減効果を検証した。今後、更に実証試験を進め、大型高炉でのSuper COURSE50 技術(CO2 排出量50%以上削減)確立の早期化に取組む。

 Super COURSE50 技術は、2022年1月にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金に採択され、2023年11月に同基金拡充の採択が決定、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターの4社で、コンソーシアムを結成し、本開発を進めている。

 日本製鉄は、2021 年3 月に公表した「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」で、本技術を活用した「高炉水素還元」に「大型電炉での高級鋼製造」「水素による還元鉄製造」を加えた、3 つの超革新的技術を用いたカーボンニュートラルの実現を目指している。

高炉水素還元の実機化に向けたプロセス
高炉水素還元の実機化に向けたプロセス