エア・ウォーター・インディア、タタ・スチール ジャムシェドプル製鉄所の大型産業ガスプラントを取得
鉄鋼向けオンサイトガス供給を拡大、インド東部・北部の液化ガス供給体制を強化
エア・ウォーターグループのAir Water India Private Limited(エア・ウォーター・インディア)は、タタ・スチールがインド東部ジャルカンド州のジャムシェドプル製鉄所に建設中の大型産業ガスプラントを取得し、同社と20年間の長期運転保守を行う契約を締結した。2025年11月から稼働開始予定、タタ・スチールに酸素・窒素・アルゴンを安定供給するとともに併産する液化ガスをインド東部・北部エリアの顧客に供給し、インド産業ガス事業の成長を加速する。
タタ・スチールは、インド国内最大級の鉄鋼メーカーであり、インド経済の発展を支えるタタ・グループの中核企業。エア・ウォーター・インディアは、これまで同社ジャムシェドプル製鉄所向けに3基のオンサイトガスプラントを保有し、2019年から6年間にわたりガス供給を継続してきた。これらのプラント運営においては、経験豊富な日本人駐在員の現地派遣に加え、日本から遠隔で支援を行うことで、長年にわたり培ってきたプラント運転・保守のノウハウを展開し同社との信頼関係を着実に築いてきた。さらに、インド市場における産業ガスメーカーとしての実績を高く評価された結果、同製鉄所向け4基目となる本件受注に至った。本プラント稼働により、タタ・スチールへの安定供給とインド東部・北部への液化ガス供給体制を強化しインド産業ガス事業の拡大を進める。
新プラントの概要
- プラント名 :エア・ウォーター・インディア ジャムシェドプル オンサイト第4プラント
- 所在地 :ジャルカンド州ジャムシェドプル(タタ・スチール ジャムシェドプル製鉄所隣接地)
- 製造品目 :酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、液化酸素、液化窒素、液化アルゴン
- 酸素生産能力:約1,800トン/日(約52,500Nm³/h)
- 稼働開始 :2025年11月(予定)
インド市場環境と事業戦略
エア・ウォーター・インディアは「鉄鋼向けオンサイトガス案件への注力」と「液化ガス製造拠点の拡充」を基本戦略とし、インドにおける市場成長を捉えながら継続的な事業拡大を図ってきた。インド政府の「Make in India, Make for the World」スローガンのもと国内産業における生産能力の拡充やサプライチェーン整備が課題となる中、2025年8月には日印首脳会談において、半導体や鉱物資源などを重点分野とした「経済安全保障協力イニシアチブ」への合意がなされ、両国政府が日印企業間の協業や投資促進を後押しする方針を確認。
インド市場は、鉄鋼分野では「2034年までに粗鋼生産量を年間約1.5億トンから5億トンへ引き上げる」という政府目標のもと各鉄鋼メーカーが積極的な設備投資を進め、インド最大の製鉄所集積地である東部では造船・電力・インフラなど、北部では自動車関連産業を中心に産業ガス需要が増加している。また、インド政府のリーダーシップのもとインドを半導体製造・設計拠点へ発展させる取り組みも進展しており、北東部のアッサム州他各地で半導体・電子産業の立ち上げが計画され、半導体製造に欠かせない窒素ガスを中心とした産業ガス供給インフラ構築の重要性がより一層高まっている。
本プラントは、鉄鋼メーカーへのオンサイトガス供給と自動車・半導体産業などへの液化ガス供給によりインド国内の製造業の成長を支える重要な役割を果たす。今後もインド産業ガス事業の成長を通じて日印経済連携の中心的役割を目指し、インド社会の発展に貢献する。