デンケン・ハイデンタル、京都市に新社屋・工場を竣工し製造機能を集約
「CAD/CAM冠」用歯科材料の生産を従来の2倍の月間6万個に増強
エア・ウォーターグループで歯科材料・機器の製造・販売を行うデンケン・ハイデンタル株式会社(代表取締役社長:奥野 裕志、以下:デンケン・ハイデンタル)は、京都府京都市に新社屋・新工場を建設し、2020年12月1日(火)から稼働を開始する。
これまで2拠点に分散していたデンケン・ハイデンタルの製造機能を集約することで開発体制の強化と生産の効率化を図るとともに、虫歯治療等でニーズの高まっている白いかぶせ物「CAD/CAM冠」※用の歯科材料の生産を、従来の2倍にあたる月間6万個に増強する。
※CAD/CAM冠:コンピューターによる設計・加工支援制御(CAD/CAM)システムを使用し、レジン材料(プラスチック系材料)と特殊フィラー(シリカ・セラミック系などの無機微粒子)を組み合わせた、ハイブリッドレジンとよばれるブロック材を歯の形に削り出して作成する被せ物のこと。
介護用シャワー入浴装置「美浴」の製造受託、歯愛メディカルと新製品開発
近年、歯科治療のデジタル化が進む中、虫歯の治療においては、従来使われていた金属冠から、審美性に優れ、金属アレルギーの方でも使えるレジン材料(プラスチック系材料)を用いて作る CAD/CAM 冠の採用が増えている。2014 年の小臼歯への保険導入から、徐々に保険適用が拡大され、2020 年4月の診療報酬改定時には上顎第一大臼歯(奥歯)へ、9 月には中切歯、側切歯、犬歯(前歯)に適用が拡大されている。
デンケン・ハイデンタルでは2017 年に小臼歯向けの高精度なハイブリッドレジンのブロック材(CAD/CAM 冠の材料)を開発。2019 年には大臼歯向けの開発にも成功し、すでに累計個数80 万個を販売した。仕上げ時の手間が軽減できる研磨性と歯に強い力がかかっても耐えることができる強度を高次元で両立する。
今回、同社はますますニーズが高まる CAD/CAM 冠用の歯科材料の増産体制の構築など、さらなる事業拡大を目指し、本社および工場を京都府京都市山科区から同市南区に移転新設し、これまで本社工場と大阪府東大阪市の 2 拠点に分散していた製造拠点を集約、歯科材料・機器開発の技術力を結集し、開発力の強化と生産の効率化を図る。
なお、新工場では歯科用関連機器の組み立て技術を活用し、エア・ウォーターの介護用シャワー入浴装置「美浴」の製造を受託する。今後は、新社屋・新工場の活用と合わせて、エア・ウォーターグループのシナジーを活かし、全国6 万軒の歯科クリニックと取引のある㈱歯愛メディカルと共同で新製品開発を進めるなど、新たに「予防矯正歯科」「デジタル関連材料」「訪問診療」「クリニック材料」領域へ事業拡大を進め、歯科材料、機器の総合メーカーとして歯科医療に貢献する。
デンケン・ハイデンタル 新社屋・新工場 概要
新社屋・新工場の主な特長
- 新工場では、主に①歯科用関連材料 ②歯科用関連機器 ③エア・ウォーター製品の3 品目を製造。需要の高まる CAD/CAM 冠用歯科材料は生産設備の自動化で従来の 2 倍となる月間 6 万個を生産。
- 新社屋では、製品の展示、見学のほか、セミナーを開催できる作りになっており、製品を実際に見ることや、エア・ウォーター製品の介護用シャワー入浴装置「美浴」を体験することができる。
概要
- 所在地:京都府京都市南区吉祥院石原京道町24 番3
- 面積:敷地5,396 ㎡、建物延床6,970 ㎡
- 構造:鉄骨造3 階建
- 投資額:20 億円(土地代除く)
- 稼働開始:2020 年12 月1 日(火)
- 生産能力:
品目 | 品名 | 生産能力 |
歯科用関連材料 | CAD/CAM 冠 | 60,000 個/月(現30,000 個) |
ジルコニアディスク | 3,000 枚/月(新製品) | |
歯科用関連機器 | ジルコニア焼成炉 | 200 台/年(現150 台/年) |
鋳造機 | 80 台/年(現60 台/年) | |
喀痰吸引器 | 16,000 台/年(現12,000 台/年) |
デンケン・ハイデンタル 会社概要
エア・ウォーター㈱は2011 年に金属製義歯の鋳造機などの製造・販売行う㈱デンケンをグループ化し、歯科事業に参入。その後2012 年に歯科技工所向け歯科材料の製造・販売を行うハイデンタル・ジャパン㈱をグループ化した。2014 年、一体事業運営のために2 社が合併し、デンケン・ハイデンタル㈱を設立。
- 会社設立 : 1969 年5 月
- 資本金 : 4,800 万円
- 代表者 : 代表取締役社長 奥野 裕志(おくの ひろし)
- 売上高 : 31 億円(2019 年度)
- 従業員数 : 80 名(2020 年3 月末現在)
- 株主 : エア・ウォーター株式会社 96.16%
<参考> エア・ウォーターグループの医療関連事業について
高度化する先端医療の現場である最新の病院設備や医療機器の製造・販売、医療用ガス供給、病院内の物品物流管理(SPD)や医療器具の洗浄・滅菌等の病院業務の受託サービス、設備機器のメンテナンス業務といった高度医療分野から、デンタルや衛生材料、注射針といった地域のクリニックや在宅医療などのくらしの医療に至るまで、多岐にわたる製品・サービスを提供。2019 年度売上収益は 1,879 億円で、エア・ウォーター売上収益(8,091 億円)の 23.4%を占める。詳しくは右記URL を参照。https://www.awi.co.jp/business/medical/