帝人ファーマ、医療・介護多職種連携システム「バイタルリンク」を腹膜透析領域へ拡販

(株)ジェイ・エム・エスと販売代理店契約締結

 帝人ファーマは、株式会社ジェイ・エム・エス(本社:広島市中区、桂 龍司 社長、以下「JMS」)と、2023年12 月 1 日、帝人ファーマが展開する多職種連携システム「バイタルリンク」について、腹膜透析治療の患者に携わる医療従事者向けに販路を拡大する販売代理店契約を締結した。

 多職種連携システム「バイタルリンク」のさらなる利用者拡大を目指す帝人ファーマと、腹膜透析領域の事業基盤強化を図るJMSが、腹膜透析患者のさらなるQOL向上を目指す。

 帝人ファーマはこれまで、多職種連携システム「バイタルリンク」の販売や帝人訪問看護ステーション株式会社の設立など、医薬品および在宅医療機器の事業基盤を活かしながら、地域包括ケア関連の事業を拡大してきた。

 JMSは、輸液・栄養領域、透析領域、外科治療領域、血液細胞領域の 4 領域で事業展開する医療機器メーカー。血液透析装置や腹膜透析で使用する透析液などの製造販売を実施しており、腹膜透析領域における、より強固な事業基盤の構築に取り組む。

 今回の契約締結により、両社は腹膜透析領域での導入数拡大を図り、多職種間のシームレスな情報共有を支援することで、より良い腹膜透析治療に貢献する。

 慢性腎臓病が進行し、末期腎不全に至った患者は腎代替療法の一つである、血液透析や腹膜透析などの透析治療を行う。透析治療を行う患者数は 2021 年12 月末時点で約 35 万人とされており、緩やかな増加傾向にある。

 一般に透析患者は週に 3 回、医療機関へ通院し、1 回あたり 4~5 時間程度、血液透析を行う。近年、政府による地域包括ケアシステムの推進や、透析を受ける年齢の高齢化により、自宅で患者のライフスタイルに合わせた透析治療を行うことができる、腹膜透析への関心が高まりつつあった。

 「バイタルリンク」は、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を用い、医師、看護師、薬剤師、介護従事者など、患者に関わる医療従事者間で患者の血圧や体温などのバイタル情報を共有することができる多職種連携システム。患者の情報を関係者間でリアルタイムに抜け漏れなく共有することにより、患者の状態に合わせた適切な治療を迅速に行うことが可能になる。2015 年の販売開始以降、現在までに全国で 3 万施設に導入されている。

「バイタルリンク」による患者支援のモデル
「バイタルリンク」による患者支援のモデル

 一般に、患者が自宅で安心して腹膜透析治療を行うためには、透析液の交換や、患者の療養状況の確認、装置の維持・管理など、様々な視点からのケアが重要であり、多職種が連携して患者を支える仕組みが大切になる。一方で、病院・診療所・訪問看護師などの連携を支える体制が十分ではないことが、腹膜透析治療の普及における課題の 1 つとなっており、「バイタルリンク」が貢献できる余地が多く残されているとしている。

 今回の代理店契約においては、JMSが腹膜透析領域での販売網を活用して「バイタルリンク」に関する情報提供を実施して同領域での医療者や患者ニーズを深耕し、導入意向のある医療者を帝人ファーマに紹介する。医療者との契約は帝人ファーマが行う。