「瀬戸内・四国CO2ハブ構想」実現に向けた事業性調査に関する覚書を締結

住友商事、JFEスチール、住友大阪セメント、川崎汽船、Woodside Energy の5社

 住友商事、JFEスチール、住友大阪セメント、川崎汽船、Woodside Energy Ltd社(本社:豪州パース、CEO & Managing Director:Meg O’Neil、以下「Woodside」)は、「瀬戸内・四国CO2ハブ構想」実現に向けた事業性調査の実施に合意し、5社間で覚書を締結した。

 瀬戸内・四国地域に点在するCO2排出源から小型液化CO2輸送船を活用してCO2を回収し、国内に設置するCO2輸出用ハブポート(注1)にて一時的にCO2を集積・貯蔵した後、大型液化CO2輸送船で豪州へ輸送し、圧入・貯留する一連のCCS(注2)バリューチェーン構築に向けて5社で事業性調査を実施する。

 瀬戸内・四国地域複数の地域、産業、企業から排出されるCO2をまとめて取り扱うことで大規模化とコスト低減を実現し、個社では難しいCCSバリューチェーン構築を日豪企業が一体となって目指す。また、将来的にCO2回収量をさらに増加させてさらなるスケールメリットを追求し、地域ごとにハブ&クラスター(注3)を組成していくことも含めて瀬戸内・四国地域全体のカーボンニュートラル化への貢献を目指す。

 日本政府は「GX実現に向けた基本方針」(注4)において、2030年までのCCS事業開始に向けた事業環境整備を推進している。住友商事、JFEスチール、住友大阪セメント、川崎汽船、Woodsideは、各社の情報や知見・経験を活用し、本CCS事業の推進を通じてカーボンニュートラル社会実現に貢献していくとしている。

 2023年12月16日開催の「日ASEAN経済共創フォーラム」では、齋藤健経済産業大臣の立ち合いの下、本事業性調査に関する覚書締結を記念したMOU写真撮影セレモニーを実施した。

日ASEAN経済共創フォーラムにおけるMOUセレモニー
「日ASEAN経済共創フォーラム」におけるMOUセレモニー、(写真左から)住友商事 兵藤 誠之 代表取締役 社長執行役員、川崎汽船 明珍 幸一 代表取締役社長 社長執行役員、住友大阪セメント 土井 良治 代表取締役 取締役専務執行役員、JFEスチール 北野 嘉久 代表取締役 社長、齋藤 健 経済産業大臣、Woodside Mr. George J Gilboy VP & Chief Representative Japan

本取り組みに関する各社コメント

住友商事

 住友商事グループは、「気候変動緩和」を重要社会課題の一つとして位置付け、2050年の事業活動のカーボンニュートラル化と、持続可能なエネルギーサイクル実現に挑戦しています。住友商事は、CCUS(注5)をその重要な手段のひとつと捉え、2023年1月に同分野での事業開発に取り組むCCUSチームをエネルギーイノベーション・イニシアチブ内に設立しました。CCUSチームは、当社グループが持つCCUS関連の知見を集約、社内外の連携を強化することでCCUSバリューチェーンを構築し、「CO2分離・回収」「輸送・貯留」「利活用」の事業開発に取り組んでおり、本件は鉄鋼業界とのGXに取り組む金属事業部門や生活・不動産事業部門等と連携しながら進めているものです。

JFEスチール

 JFEグループは「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定し、気候変動問題への対応を経営の最重要課題と位置付け、その解決に向けた取り組みを強力に推進しています。JFEスチールでは、カーボンリサイクル高炉や直接還元製鉄など、さまざまな超革新技術の開発に取り組むことに加え、企業間連携やコンビナート連携も含めたCCUSを活用することでカーボンニュートラルの実現を目指しています。CCUSバリューチェーン構築に向け、国内外を含めた企業間連携の拡大・強化を図り、取り組みを加速していきます。

住友大阪セメント

 住友大阪セメントグループは、2050年カーボンニュートラル(CN)ビジョン「SOCN2050」に基づき、2050年までに国内外のあらゆる削減方策を総動員してCN実現に挑戦することとしています。セメント産業でのCO2排出の特徴としてエネルギー由来CO2以外に主原料である石灰石起源のプロセス由来CO2が過半であることから、CN実現のためには非化石エネルギー化だけではなく、CCUSの活用が必須となります。弊社は国のGI基金事業の下でCO2を人工石灰石(CaCO3)として鉱物固定化するCCUに取り組んでいますが、加えてCN実現のためにはCCSの活用が不可欠と考えており、瀬戸内・四国に主力工場を擁する弊社として本構想に参画する意義は大きいものと認識しています。

川崎汽船

 川崎汽船グループは、環境に関わる長期指針「環境ビジョン 2050」に基づき、自社の低・脱炭素化および社会の低・脱炭素化支援に向けたさまざまな取り組みを推進しています。CCSの分野で当社は、商業ベースでは世界初となるCCS向け液化CO2輸送を来年から開始予定です。今後国内外で順次開始される液化CO2輸送船舶の運航を通じて得られる知見を、本件をはじめとする将来の事業開発に活かし、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。

Woodside

 ウッドサイド・エナジー社はオーストラリアのエネルギー企業で、CCSの取り組みを進めています。

(注1)ハブポート:小型CO2輸送船で複数の排出源から集められたCO2を一時的に集積・貯蔵する為に設置される港
(注2)CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留すること
(注3)ハブ&クラスター:複数のCO2排出源から一度ハブとなる拠点にCO2を集めた上で、CO2を輸送・圧入する効率的なサプライチェーンの形態
(注4)GX実現に向けた基本方針(経済産業省による2023年2月10日付発表):https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002.html
(注5)CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略称。産業活動などから排出されるCO2を回収・貯留・利活用すること