巴商会とヒメジ理化、山梨県、YHCが福島県で、大容量PEM型P2Gによる水素供給と利活用の実証

グリーン水素とグリーン酸素を製造、石英ガラス加工の脱炭素化

 巴商会とヒメジ理化株式会社(本社:兵庫県姫路市、赤錆充 代表取締役社長)、山梨県企業局、株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー(本社:山梨県甲府市、中澤宏樹 代表取締役社長、以下YHC)は、福島県田村市で建設中のヒメジ理化田村工場において、やまなしモデルP2G(パワー・ツー・ガス)システム(※1)を導入し、半導体の製造に必要な石英ガラス製品の加工工場の脱炭素化と、P2Gで製造した水素を周辺地域で利用する一連の水素利活用実証に共同で取り組む。

「福島県におけるグリーンガラスの製造を核とする分散水素供給・利用システム技術開発」
「福島県におけるグリーンガラスの製造を核とする分散水素供給・利用システム技術開発」

 本実証事業は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「福島県内におけるグリーンガラスの製造を核とした分散水素供給・利用システム技術開発」(※2)として実施される。

 これまで巴商会、ヒメジ理化及び山梨県企業局の3者は、共同で田村工場へのP2G導入に向けた可能性調査を実施し、P2Gの規模の確定を含む実証全体の概略設計を完了した。今回、その結果を踏まえ、P2Gのオペレーションに関し知見を有するYHCを新たなメンバーとして加え、実証フェーズへ移行することを決定した。

実施体制図
実施体制図

 本実証事業においては、P2Gの大容量モデル(14.8MW以上(予定))を、福島県田村市の産業団地内に導入し、グリーン水素とグリーン酸素(※3)を製造する。製造された水素と酸素は、田村工場へ送り、石英ガラスの加工工程におけるバーナーの燃料として利用する予定。石英ガラスの加工工程においては従来化石燃料由来の水素と工業生産された酸素を利用していたが、P2Gと組み合わせることにより、工場及び製品の脱炭素化が期待される。

実証サイトのイメージ図
福島県田村市の実証サイトイメージ図

 また、田村工場で消費しきれなかった余剰水素については、周辺地域の工場等へ配送・利用することにより、田村工場の脱炭素化のみならず、地域全体の脱炭素化に貢献する「地域水素利活用モデル」の確立を目指す。今後は令和7年度末までに、P2G等の製造と現地への導入、実証運転の開始を予定する。

 巴商会、ヒメジ理化、山梨県企業局及びYHCは、カーボンニュートラルの実現に向け、相互に連携し、幅広い分野での脱炭素化と、地域資源を生かした水素エネルギー社会の構築に、積極的に貢献するとしている。

※1:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、山梨県、東レ、東京電力ホールディングス、東光高岳が共同で開発し、再生可能エネルギーを安全・安心に水素エネルギーに転換できる固体高分子 (PEM) 形P2Gシステム。
※2:水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発(令和4年10月採択)。幹事企業は巴商会。
※3:製造段階においてCO2を排出しない酸素と水素。