岩谷産業と大陽日酸が東京都の令和5年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に採択

産業機械向け液化水素移動式ステーション開発と、洋上での海水利用の水素製造設備構築

 東京都と公益財団法人東京都環境公社は、令和5年度「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」に応募のあった6事業の中から、岩谷産業と三菱重工業、高圧昭和ボンベ、武蔵高圧技研の4社が実施する「産業機械分野における水素利活用に向けた水素インフラの開発及び建機市場を中心とした事業化調査」と、大陽日酸と商船三井テクノトレード、㈱MOTENA-Sea(商船三井テクノトレード90%出資)、㈱sesoの4社が実施する「水素燃料を活用した電気推進観光船導入に向けた、洋上における水素サプライチェーン構築」の2事業を採択することを決定した。

 電力のHTT((H)減らす・(T)創る・(T)蓄める)を推進するとともに、ゼロエミッション東京の実現に向け、東京都は脱炭素化に資する新エネルギー及びその利活用・普及に係る製品・サービスの調査研究、技術開発、実証、実装化までの取組を支援する「新エネルギー推進に係る技術開発支援事業」を令和4年度から実施している。

 岩谷産業が代表企業となる「産業機械分野における水素利活用に向けた水素インフラの開発及び建機市場を中心とした事業化調査」は、公道走行できず、街中の水素ステーションを利用できない産業機械モビリティ(建機や農機など)への水素充填を可能とする液体水素搭載型の移動式水素供給システムを開発するとともに、都内FC【注】建機市場を中心に実証運用に向けた調査・検証を実施する。

【注】FC:Fuel Cellの略。水素と酸素を化学反応させて電気を発電する燃料電池のこと。

「産業機械分野における水素利活用に向けた水素インフラの開発及び建機市場を中心とした事業化調査」

 大陽日酸が代表企業となる「水素燃料を活用した電気推進観光船導入に向けた、洋上における水素サプライチェーン構築」は、東京都におけるGHG削減およびエネルギーBCPのため、洋上(台船上オンサイト型水素ステーション)での海水を活用した水素製造設備の構築とその効率的な運用を図ることで、そこで精製された水素を活用し、水素を燃料とする観光船事業などによる持続可能なサプライチェーン構築を目指す。
 事業期間は、2023年12月~2026年12月(3年間)とし、事業内容は、① 台船上オンサイト型水素ステーションの製造、水素燃料船への供給実験を目指した安全性評価、設置場所の決定、詳細設計、② 東京都内における水素燃料船の利活用促進策の検討・実証。
 本事業で利用する水素燃料船は、㈱MOTENA-Seaが建造を進めている水素・バイオ燃料ハイブリッド型電気推進観光船「HANARIA」を想定している。(*参照:https://hanaria.jp/

台船上オンサイト型水素ステーションのイメージ
台船上オンサイト型水素ステーションのイメージ

 「新エネルギーの推進に係る技術開発支援事業」の支援対象事業は、新エネルギー及び新エネルギーの利活用・普及に資する製品・サービスに係る調査研究、技術開発、実証、実装化までの各段階の取組(一部の段階でも可)で、支援対象事業者は都内に本店又は支店を置く大企業を中心とするグループ。ただし、グループ構成に都内中小企業を1社以上含むことを要件とする。

 支援期間は交付決定日から3年以内で、1グループあたり30億円(下限額10億円)の助成額、助成率は対象となる経費の3分の2以内。主な支援要件は・東京の脱炭素化に資する取組であること、・実証を行う場合は、原則都内で実施すること。「新エネルギーの推進に係る技術開発支援事業」ウェブサイトURL:https://tokyo-new-energy.jp/