JIMGAが労働安全衛生法の新たな化学物質規制への対応を公開

産業ガス・医療ガスの取扱における基本事項を取りまとめ

 日本産業・医療ガス協会(JIMGA)技術・保安グループは、化学物質による労働災害防止のための新たな規制について、厚生労働省に確認した産業ガス・医療ガスの各種取扱の基本事項を取りまとめをJIMGAウェブサイト(https://www.jimga.or.jp/)で公開した。

 2021 年以降、労働安全衛生法関連法規の改正に伴い、化学物質規制体系の見直しが適時推進され、事業者による自律的な管理を基軸とする規制へ移行、産業ガス・医療ガスに関連する化学品についても広く適用対象となっている。

化学物質による労働災害防止のための新たな規制について(JIMGAウェブサイト)
https://www.jimga.or.jp/news/detail.php?id=1420

「産業ガス・医療ガスに係わる労働安全衛生法関連の新たな化学物質規制対応」(PDF)
https://www.jimga.or.jp/files/2024030401.pdf

 JIMGAでは、取りまとめの記載事項は総論であり、個別案件や詳細は、管轄の労働基準監督署に問い合わせるよう会員に対し要請している。

 産業ガス・医療ガス業界において、労働安全衛生法の新たな化学物質規制に対し自主的な化学物質管理を周知、啓蒙を進めるにあたり必要な対応をまとめたもので、吸引毒性がない化学物質の高圧ガスを前提とする。

 規制対象物質(例)は、ラベル、SDS通知義務対象物として既存義務対象物が、アセトン・軽油・アンモニア・N,N-ジメチルホルムアミド・一酸化炭素・水酸化ナトリウム・一酸化窒素・灯油・一酸化二窒素・トルエン・エタノール・二酸化窒素・エチレン・ブタン・エチレンオキシド・フッ化水素・塩化水素・ヘキサン・オゾン・ベンゼン・ガソリン・硫化水素・キシレン等。

 2026年4月からは、アセチレン・窒素(高圧のガスの状態のものに限る)・アルゴン(高圧のガスの状態のものに限る)・二酸化炭素・エタン・プロパン・酸素(高圧のガスの状態のものに限る)・ヘリウム(高圧のガスの状態のものに限る)・三弗化窒素・メタン・ジシラン・六フッ化硫黄・水素等が対象となる。

 事業者に措置義務がかかる事項(例)として、次の事項がある。

<製造、取扱、使用時等>

  • SDS の情報等に基づくリスクアセスメントの実施
  • リスクアセスメントに基づく措置の実施・管理
  • 化学物質管理者の選任義務
  • 保護具着用管理責任者の選任義務
  • ばく露濃度を「ばく露限界値」以下とする義務(国がばく露限界値を設定した物質)
  • ばく露濃度をなるべく低くする措置を講じる義務(ばく露限界値未設定の物質)
  • 労働者の安全衛生確保
  • 必要な健康診断の実施

<譲渡提供時>

  • ラベル表示・SDS 交付による危険性・有害性情報の伝達義務
  • SDS の記載項目の追加・見直し、定期的な更新義務化

 事業場が「製造」、「取扱い」または「譲渡提供」に該当する場合は、化学物質管理者の選任が義務化される。産業ガス・医療ガスの取扱・流通過程等において管理者の選任の要件に違いがあり、製造事業場では専門的講習の修了者が要件となり、製造事業場以外では資格要件は無い(専門的講習の受講を推奨)。

産業ガス・医療ガスの流通過程イメージ(※吸引毒性がない化学物質の高圧ガスを前提)
産業ガス・医療ガスの流通過程イメージ(※吸引毒性がない化学物質の高圧ガスを前提)