「ドローン搭載型エアリークビューアー」で高所高圧ガス配管の点検作業を足場レス化

JFEスチール全製鉄所へ導入完了

 JFEスチールは、グループ会社であるJFEアドバンテック株式会社と共同でガスリーク(気体漏れ)検知器「ドローン搭載型エアリークビューアー」を開発し、全製鉄所への導入を完了した。本検知器の適用により、高所の高圧ガス配管点検作業の安全性向上と工数削減による迅速化を実現、さらなる安定操業に努める。

 製鉄所では、製造プロセスにおいて様々な種類のガスをエネルギーとして活用しており、全長数百kmにも及ぶ配管設備についてガスの性質や立地に合わせた点検を実施している。今回開発した検知器はJFEアドバンテックの超音波式ガスリーク箇所可視化装置「エアリークビューアー」の新タイプで、足場を設置して行っていた高所の高圧ガス配管設備の点検作業において、ドローンを活用することで、作業者は地上で配管の状況を確認することが可能となる (図1)。

【図1】高所ガス配管設備点検へのドローン活用
【図1】高所ガス配管設備点検へのドローン活用

 「エアリークビューアー」は、ガスが漏洩する際に人の耳には聞こえない超音波が発せられることを利用し、ガスリーク箇所を可視化する検知器(図2)。複数の超音波センサで受信した音波信号を合成して音圧マップを作成し、可視画像と重ね合わせることでガスリーク箇所を可視化する技術のため、ドローンに搭載する場合は、ドローンから発生するプロペラ音がノイズとなり正しくリーク箇所を検出できないという課題があった。

【図2】検知器で撮影した配管点検画像
【図2】検知器で撮影した配管点検画像

 ガス漏洩時のリーク音の音響特性を調査し、リーク音とドローンのプロペラ音を判別しやすい周波数帯で測定可能な超音波センサを新たに採用した。さらに、ドローンに積載可能な重量とするため、センサの小型軽量化と独自形状の遮音フードの開発に取り組み、センサ部へのプロペラ音の侵入防止とドローンの飛行安定性の両立を実現した(図3)。本検知器はBPF機能(※)を搭載しており、環境に応じた測定周波数の変更も可能。

【図3】ドローン搭載型ガスリーク検知器のドローン搭載状況
【図3】ドローン搭載型ガスリーク検知器のドローン搭載状況

※Band-pass filter(帯域通過濾波器)の略称。電子回路や計測機器、信号処理において、特定の周波数帯域のみを通過させ、それ以外の周波数帯域は減衰させるフィルター。

関連URL:JFEグループのソリューションビジネスHP エアリークビューアー「MK-750ST」
https://www.jfe-steel.co.jp/products/solution/gasleakviewer/