大陽日酸が国内初の電気炉製鋼用高効率カーボンインジェクター「TSCi」の販売を開始

CDQ コークス、破砕石炭の操業で、吹き込みカーボンを20%以上削減

 大陽日酸は、電気炉製鋼プロセスで使用する高効率カーボンインジェクター「TSCi」の販売を開始した。TSCi は吹き込みカーボン量や使用電力量などを削減でき、電気炉の CO2排出量削減に貢献する。

電気炉製鋼用高効率カーボンインジェクター TSCi 外観
図1 TSCi 外観

 電気炉製鋼プロセスにおいてカーボンインジェクターは溶鋼成分を調整する目的で多くの電気炉で使用されている。従来は、炉前からのパイプによる溶鋼直接吹込み方式だったが、近年では、オペレータの安全性および作業負荷低減の観点から、炉壁吹込み方式が採用されているものの、集塵ロスや炭素利用効率の低下が課題となっていた。

 大陽日酸は、これらの課題を解決すべく、Tallman Technologies Inc.(カナダ)製の高効率カーボンインジェクター「TSCi」の販売を開始した。

 電気炉製鋼プロセスで使用されるカーボンは、炉壁に設置された単孔ノズルを有するランスパイプにより電気炉内に吹き込まれる。しかし、カーボンは吹き出し直後に減速・拡散し、集塵ロスや炭素利用効率の低下が課題となる。この課題に対して、TSCi はカーボンを搬送するノズル(トランスポート)と、速度減衰を抑制する環状ノズル(シュラウド)の2種の空気吹き出し口により、初速マッハ2で吹き出したカーボンの減速・拡散を抑制し、高効率な溶鋼への吹き込みを実現する。本技術は国内で使用される比較的粒径の大きい CDQ コークスだけでなく、今後、カーボンニュートラル の観点から広く利用が見込まれるバイオコークスに対しても高い吹き込み能力を発揮する。

 TSCi は米国をはじめ海外に多くの納入実績があり、日本国内ではCDQ コークスを多く用いる電気炉ユーザに使用してもらうため、課題となる機器の摩耗対策を実施し、その有効性を確認した。

図2 噴流状況模式図[左:単孔ランスパイプ 右:TSCi]
図2 噴流状況模式図[左:単孔ランスパイプ 右:TSCi]

 カーボン源として無煙炭および石油由来コークスを使用した操業においては、炉壁からの吹き込みカーボンの 20%削減、原料スクラップと共に投入するチャージカーボン 32%の削減が確認された。同ユーザにおいてはその後の操業最適化により、チャージカーボンは従来値と比較して最大 85%まで削減した。また高いカーボン吹込み能力によりスラグ形成速度が向上し電力原単位 3%削減、スラグ中の酸化鉄割合 3%削減が確認された。カーボン源として国内で一般的な CDQ コークスおよび破砕石炭を用いた操業においても、吹き込みカーボンの 20%以上の削減を確認している。

 大陽日酸では、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、環境貢献製商品による顧客の CO2排出量削減に取り組んでいる。今後もオープンイノベーションによる新たな技術を組み合わせることで、顧客の CN 達成に向けて貢献するとしている。