岩谷産業 2024年3月期通期連結決算

岩谷産業

エアセパレートガスと水素ガスは、販売数量減少も収益性改善

 岩谷産業の2024年3月期通期連結決算は、売上高8478億8800万円(前年同期比6.4%減)、営業利益506億3500万円(同26.5%増)、経常利益662億0200万円(同40.8%増)、親会社株主に帰属する純利益473億6300万円(同47.9%増)となった。2023年5月15日公表の直近業績予想から、売上高で591億1100万円の減少となったものの、営業利益が56億3500万円増加、経常利益で159億0200万円増加、親会社株主に帰属する純利益138億6300万円増加となった。2024年3月期期末配当を直近予想の95円から35円増配し、130円とした。

 LPガス輸入価格が低位に推移し、販売価格が低下したことに加え、次世代自動車向け二次電池材料の販売低迷等により、売上高は前回発表予想を下回った。一方、営業利益においてはLPガス小売部門での収益性改善やエアセパレートガス等の産業ガス製造コストの圧縮に努めたこと等により、前回発表予想を上回った。加えて、コスモエネルギーホールディングス株式会社が関連会社となり持分法を適用したことにより、負ののれん相当額が発生し持分法による投資利益が増加したほか、政策保有株式の売却益等により、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は前回発表予想を大きく上回った。

当期の経営成績の概況

 水素エネルギー社会の実現に向け、福島県南相馬市で一般住宅を対象に水素混合LPガスを既存の導管で供給する実証事業が国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)の助成事業に採択された。また、港湾ターミナルの脱炭素化に向けては、燃料となる水素を供給することで、阪神港コンテナターミナルで使用される荷役機械を水素エンジン発電機で動かす実証事業に参画する。

 総合エネルギー事業では、LPガス直売顧客数の拡大や配送拠点の統廃合等による配送合理化に継続して取り組んだ。カートリッジガス事業は、同社では最高級モデルとなるカセットこんろを発売し、新たな顧客層を開拓した。

 産業ガス・機械事業では、東南アジアでの需要が高まる冷媒について、タイ、インドネシアに充填工場の増設を行うと共に、回収・再生事業もあわせて開始し、事業規模の拡大を図った。

 マテリアル事業では、兵庫県を中心にステンレスの加工・販売を手掛ける太平工材株式会社と太平金属株式会社の株式を100%取得したことにより、国内でのステンレスの調達・販売に加え、加工事業を強化することで、顧客への提案力の向上を図った。

 セグメント別の状況は次のとおり。

【総合エネルギー事業】

 売上高は3571億3300万円(前年同期比360億8500万円の減収)、営業利益は201億7300万円(同58億7100万円の増益)。

 LPガス輸入価格が前年度を下回り販売価格が低下したことに加え、大口顧客向けを中心にLPガスの販売が減少し、減収。一方、利益面においては、LPガス小売部門での収益性改善や市況要因がプラス(前年度比38億9400万円の増益)となり、またカセットガスやガス保安機器の販売が堅調に推移したことで、増益となった。

【産業ガス・機械事業】

 売上高は2621億6900万円(前年同期比217億6600万円の増収)、営業利益は217億0500万円(同51億4400万円の増益)。

 エアセパレートガス及び水素ガスについては、半導体、電子部品業界向けを中心に販売数量が減少したが、製造コストの圧縮に努めたことにより収益性は改善した。特殊ガスについては、ヘリウムガス及び炭酸ガスの安定供給に努めた。機械設備は、パワー半導体向け設備やガス供給設備の販売が好調に推移した。

【マテリアル事業】

 売上高は1982億4300万円(前年同期比441億8600万円の減収)、営業利益は123億0500万円(同2億9800万円の減益)。

 飲料ボトル向けPET樹脂やバイオマス燃料、スマートフォン向け機能性フィルムが好調に推移したことに加え、ステンレスが堅調に推移した。ミネラルサンドは、海外の自社鉱区での生産・販売は好調に推移したが、国内では需要低下に伴い販売が減少した。また、次世代自動車向け二次電池材料は、市況下落や販売先での在庫調整の影響等により販売が低迷した。

【その他】

 売上高は303億4100万円(前年同期比1億3200万円の増収)、営業利益は27億7600万円(同7億8100万円の増益)。

今後の見通し

 総合エネルギー事業は、引き続きM&A等によるLPガス直売顧客数の拡大と、エネルギー関連機器の販売強化により、LPガス数量の増加に取り組む。エネルギーの低炭素化に向けては、燃料転換の推進やカーボンオフセットガスの販売強化、グリーンLPガスの開発を推進する。また、物流の最適化に取り組み、事業基盤の強化とコスト低減を図る。カートリッジガス事業においては、東南アジアを中心に海外事業の拡大に取り組む。

 産業ガス・機械事業は、エアセパレートガスや特殊ガスの調達・物流コスト上昇への対応を強化するとともに、市場拡大が見込まれる半導体、電子部品業界等への拡販に注力する。また、脱炭素に関連して、水素やアンモニア等の設備販売を強化。水素エネルギー社会の実現に向けては、CO2フリー水素サプライチェーン構築の取り組みを着実に推進する。

 マテリアル事業は、低環境負荷PET樹脂やバイオマス燃料、二次電池材料等の販売数量増加による収益確保に努める。また、ミネラルサンド事業や金属加工事業をはじめとする海外事業についても、引き続き強化を図る。

 次期の2025年3月期通期連結業績見通しは、売上高9020億円(前年同期比6.4%増)、営業利益527億円(同4.1%増)、経常利益728億円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益540億円(同14.0%増)を予定する。年間配当金予想は期末配当130円を維持した。

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