帝人 2024年3月期通期連結決算

CPAPレンタル台数の増加が継続、HOTレンタル台数は微減

 帝人の2024年3月期通期連結決算は、売上高1兆0327億7300万円(前年同期比1.4%増)、営業利益135億4200万円(同5.3%増)、経常利益155億6400万円(同71.0%増)、親会社株主に帰属する純利益105億9900万円(前年同期は176億9500万円の赤字)となった。

 営業利益では、マテリアル事業領域で一部用途で需要軟化影響を受けたものの、収益性改善策の効果や保険金収入等により損失は縮小。また繊維・製品事業は、販売が堅調に推移し増益となった。ヘルスケア事業領域においては、医薬品導入一時金の支払いや痛風・高尿酸血症治療剤「フェブリク」の後発品参入による販売数量の減少、薬価改定影響等により減益。またIT事業は、販売が好調に推移し増益となった。

 在宅医療分野を含むヘルスケアセグメントの売上高は1447億円(前年同期比59億円の減収、同3.9%減)、営業利益73億円(前年同期比178億円の減益、同70.9%減)。在宅医療分野では、在宅持続陽圧呼吸療法(CPAP)市場で検査数が回復基調となり、レンタル台数の増加が継続し(前期末対比約7%増)、検査数/新規処方件数ともに過去最高値を達成した。一方、在宅酸素療法(HOT)市場では、COVID-19に伴う呼吸器疾患患者増が収束し、レンタル台数は微減だった。新機種開発では従来品からさらに小型・軽量化した携帯型酸素濃縮装置「ハイサンソポータブルαⅢ」を2023年7月に上市し投入を拡大した。

今後の見通し

 帝人グループは2024年5月13日に中期経営計画2024-2025を公表。新中期経営計画において、2023年度で積み残した収益性改善施策を完遂し、本社費を含む固定費削減を計画通り実行していくほか、新たに構築した事業ポートフォリオ戦略を実現するため、不採算事業、非注力事業の戦略的オプションの実行によるキャッシュ創出を原資に、成長投資と追加的株主還元を積極的に実施する方針。また、目標達成に向けた実行力を強化するため、ガバナンス・人的資本等の無形のグローバル経営基盤を強化する。

 中期経営計画の初年度である2024年度の通期の連結業績見通しは、売上収益1兆0500億円(前年同期比1.6%増)、事業利益300億円(同0.0%)、営業利益260億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は100億円。(2025年3月期第1四半期よりIFRSを任意適用するため、連結業績見通しはIFRSに基づき算出。また、対前期比較に使用している2024年3月期のIFRS実績値は概算値)ヘルスケアセグメントの業績見通しは売上収益1400億円、事業利益85億円。