ハマウィングの風力発電で低炭素水素製造し、燃料電池フォークリフトへ供給

 神奈川県、横浜市、川崎市、岩谷産業、東芝、トヨタ自動車、豊田自動織機、トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研は、環境省委託事業「平成27年度 地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択され、京浜臨海部における再生可能エネルギーを活用した、低炭素な水素サプライチェーンモデルの構築を図る実証プロジェクトのすべての設備が完成し、本格運用を開始する。
 本実証プロジェクトでは、横浜市風力発電所(ハマウィング)敷地内に、風力発電を利用し水を電気分解して低炭素の水素を製造し、貯蔵・圧縮するシステムを整備した。さらに、ここで製造した水素を、簡易水素充填車により輸送し、横浜市内や川崎市内の青果市場や工場・倉庫に導入した燃料電池フォークリフトで使用するサプライチェーンを構築する。

 こうした地域と一体となった水素サプライチェーンの構築により、従来の電動フォークリフトやガソリンフォークリフト利用時と比べて、80%以上のCO2削減が可能になると試算している。この実証を通じて、将来の普及展開モデルを見据えた、コスト試算やCO2削減効果等を検証する。

【実証テーマ】
▼ 風力発電(ハマウィング)により水を電気分解して水素を製造するシステム
▼ 最適な水素供給を行うための貯蔵と輸送の仕組み
▼ 燃料電池フォークリフトの導入利用
▼ 水素サプライチェーンの事業可能性調査

【水素価格】
・ 現状(本実証におけるコスト)の評価から、量産効果の検証、必要な規制緩和項目等の洗い出しなど、今後の水素価格低下に向けた対応の方向性について検討
・ 将来(2030年頃)を見据え、技術革新やサプライチェーンの大規模化による普及/横展開モデルについて検討

【CO2削減効果】
・ 低炭素水素のサプライチェーン構築により、従来比80%以上のCO2削減効果との試算
・ 更なるCO2削減に向けた取組の方向性の検討


【今後の本格運用の概要(2017年7月~)】
▼ ハマウィングの電力を利用した低炭素水素の製造を開始
▼ 燃料電池フォークリフト12台、簡易型水素充填車2台を用いた水素供給を検証
▼ クラウドを利用し、水素の製造から利用まで管理・運用

「本格運用に先駆けたトライアル(2016 年 11 月~2017 年7月)の実施結果」
【トライアルの目的】
▼ 水素供給・充填作業の習熟
▼ 水素・燃料電池に関する教育
▼ 燃料電池フォークリフトの先行導入

【概要】
▼ 横浜市中央卸売市場及びナカムラロジスティクスにて各1台ずつ、試験運用実施
▼ 岩谷瓦斯㈱千葉工場から簡易水素充填車により水素を配送

【トライアルを通じた評価】
▼ 電動フォークリフトに比べ、燃料電池フォークリフトは充填時間が短く、また、使い勝手においても特に問題はなく、概ね高い評価
▼ 燃料電池フォークリフトの稼働率を高めるために、水素配送回数の増加要望あり