エア・ウォーターと三菱商事、限られたスペースに設置可能な小型 LNG充填設備を共同開発

大型LNG燃料トラック向け、北海道で実証試験を開始

 三菱商事株式会社 (以下「三菱商事」) と、エア・ウォーターは、LNGを燃料とする大型トラック(以下「大型 LNG トラック」)向けに、物流施設内の限られたスペースに設置可能な小型 LNG 充填設備※1(以下「本設備」)を共同開発した。

小型 LNG 充填設備と大型 LNG トラック
小型 LNG 充填設備と大型 LNG トラック

 本設備は、日本で初めての可搬型の充填設備であり、且つ、停電時にもトラックへの LNG 充填が可能となる自家発電設備を搭載した世界初のシステムとなる。加えて、排熱回収温水を循環利用することで、寒冷地や湿度が高い地域における氷結トラブルを回避することが可能。

 三菱商事とエア・ウォーターは本設備の商用化に向けて、いすゞ自動車株式会社の大型 LNG トラック 1 台と、イタリア製の大型 LNG トラック 2 台を用いて、2020年 11 月より北海道での実証試験を開始する。両社は、北海道電力株式会社の協力を得て、本設備の有効性および大型 LNG トラック実走行時における CO2排出量と燃料費の削減効果を確認の上、事業化の検討を行う。

 日本においては、現状、大型 LNG トラックが商用化されておらず、大型トラックの大半は、ディーゼルを燃料としており(約 50 万台)、CO2排出量の削減が求められている。大型 LNG トラックは、電気自動車や燃料電池車では達成が難しい 1,000 ㎞以上の長距離走行が可能となり、従来の大型軽油トラックに比べて、10 %程度以上の CO2排出量削減※2が期待できる。加えて、将来的に CO2フリーの LNG を使用するなど、CO2の更なる削減策についても検討する。

 商用化にあたり、三菱商事の 1969 年以降幅広く展開している LNG 事業およびその他の事業ポートフォリオの知見と、エア・ウォーターの LNG タンクローリーやサテライト供給設備などのLNG 関連の開発・製造技術や物流ネットワークを有効的に活用する。本事業は環境負荷の低いクリーンなエネルギーへの転換の取組みの一つであり、両社は低・脱炭素社会の実現に向けて、2020 年代半ばを目標に、本設備の設置と競争力ある自動車用 LNG 供給を全国展開していく。

※1:本設備は、大型トラック 1 台分の駐車スペース(3.3m×12.0m)に収まり、費用は従来型 LNG 充填所の 1/2 以下、燃料充填時間は軽油と同等以下の 10 分未満/回、最大で 60 台以上/日の連続充填が可能となる予定。特許出願済み。
※2:平成 28 年度~30 年度の環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」にて、いすゞ自動車が試作した大型 LNG トラックは、高速走行を中心とした都市間輸送にて、1 回の燃料充填あたり 1,000km 以上の走行と、2015 年度重量車燃費基準値を達成したディーゼル車比 CO2排出量 10%程度以上の削減を達成。

2社の概要

【三菱商事株式会社】(創立)1954年(本社)東京都千代田区丸の内二丁目3番1号(代表者)代表取締役社長 垣内 威彦(事業内容)天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループ体制で、幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開

【エア・ウォーター株式会社】(設立)1929年(本社)大阪市中央区南船場2丁目12番8号(代表者)代表取締役会長 CEO・最高経営責任者 豊田 喜久夫(事業内容)ものづくりの現場で使用される産業ガスの供給を原点に、人々の生命を支える医療事業、くらしに密接に関わるエネルギー事業、農業・食品事業、物流事業、ケミカル事業、海水事業、エアゾール事業など多彩な事業を展開