日本酸素HD 2021年3月期第3四半期連結決算(国際財務報告基準)

売上収益6.5%減、コア営業利益11.4%減。通期業績のコア営業利益を830億円に上方修正

 日本酸素ホールディングスの2021年3月期第3四半期連結決算(国際財務報告基準)は、売上収益5922億5600万円(前年同期比6.5%減)、コア営業利益604億6800万円(同11.4%減)、営業利益631億5400万円(同12.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益373億1800万円(同9.8%減)となった。サーモス事業を除く第3四半期の売上収益5746憶円の事業別割合は、産業ガス68%、エレクトロニクス19%、メディカル8%、エネルギー5%。

 新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、第1四半期は進出国及び地域で大幅な景気低迷と需要減退の局面を迎え、製造業の生産活動も急速に減速・停滞していたが、第2四半期に入り、全般的に回復の兆しとなった。第3四半期連結会計期間でもセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷が緩やかに復調してきたが、前期比では大きく減少した。

 通期の業績予想を修正し、売上収益8020億円(前回予想比280億円減少、前年同期比5.7%減)、コア営業収益830億円(同10億円増加、同8.1%減)、営業利益846億円(同26億円増加、同9.9%減))、親会社の所有者に帰属する純利益481億円(同41億円増加、同9.8%減)とした。期末配当予想は14円で変更はない。

 売上収益は新型コロナウイルス感染症拡大による景気減退、また感染症拡大の長期化による需要回復の遅れにより、国内では産業ガス事業及びサーモス事業で、前回予想を下回る見込みとなった。コア営業利益及び営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う出張旅費の減少に加え、更なるコスト削減及び生産性向上活動により、前回予想を上方修正した。

 セグメント別には、米国ガス事業、欧州ガス事業が前回予想を上回り、国内ガス事業、アジア・オセアニアガス事業、サーモス事業が前回予想を下回る見込み。各地域とも第1四半期での減益影響が大きく、以降、各四半期においては前四半期に比べ、改善している。また、営業利益の予想には非経常項目として11億円の損失を第4四半期に織り込む。

 当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、金融損益の改善により増益を見込む。

 セグメント別の業績は次の通り。(利益はコア営業利益)

【国内ガス事業】

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益が関連業界での生産活動が低調に推移し、前期に比べ大きく減少した。一方、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの売上収益は微増となった。機器・工事では、エレクトロニクス関連で大きく増収となったが、空気分離装置や金属加工向けの溶接・溶断関連機材を中心に前期を大きく下回った。売上収益は2422億1600万円(前年同期比 6.9%減)、セグメント利益は191億2700万円(同 4.2%減)。

【米国ガス事業】

 産業ガス関連では、パッケージ・バルクガスを中心に主力製品であるセパレートガスの売上収益は大きく減した。オンサイトでは、供給先の需要低下の影響で前期を下回った。機器・工事では、エレクトロニクス関連での売上収益は増加したが、金属加工向けの溶接・溶断関連機材では、州内での小売店舗の営業活動自粛の影響もあり、大幅に減少した。売上収益は、1393億8500万円(前年同期比 6.4%減)、セグメント利益は、160億7700万円(同 4.2%減)。

【欧州ガス事業】

 主要地域となるイベリア(スペイン・ポルトガル)、ドイツ、イタリアでは、生産活動全般で停滞が生じたことにより、パッケージ及びバルクガスの需要は大きく落ち込んだ。また、オンサイトは、供給先の需要低下の影響を受けて、大幅に減少した。機器・工事では、金属加工向け溶接・溶断関連機材を中心に大きく減少した。売上収益は、1159億3800万円(前年同期比 7.5%減)、セグメント利益は、145億9000万円(同 24.1%減)。

【アジア・オセアニアガス事業】

 産業ガス関連では、フィリピン等での都市部封鎖や製造業の生産活動停滞の影響を受け、主力製品であるセパレートガスの売上収益は大きく減少した。LPガスでは、仕入での契約価格低下による販売単価の下落があったが、豪州での出荷は堅調だった。エレクトロニクス関連では、東アジアでの電子材料ガスの出荷は好調。機器・工事では、台湾での工事案件の剥落に加え、シンガポールでのスポット案件の減少と金属加工向け溶接・溶断関連機材を中心に大きく減少した。売上収益は、770億7900万円(前年同期比 2.6%減)、セグメント利益は、81億1400万円(同 0.4%減)。

【サーモス事業】

 サーモス事業は、国内では、第1四半期連結会計期間での外出制限や営業自粛要請により、行楽シーズンでの販売機会を喪失した影響が大きく、主力製品のケータイマグの売上収益は大きく減少した。一方、自宅で過ごす時間の長い新たなライフスタイルが浸透したことに関連し、フライパンやタンブラーの販売数量は大きく増加した。海外では、各地域での景気減退の影響を受け、販売数量が減少した。売上収益は、176億3500万円(前年同期比 11.2%減)、セグメント利益は、35億5600万円(同 41.3%減)。