エア・ウォーター・ベルパール、中型PSA式窒素ガス発生装置の新シリーズ「ベルスイング®NSP-Pro」を販売開始

コンパクトなサイズ感を継承しつつ、最高クラスの省エネ性能を実現

 エア・ウォーターグループでPSA 式窒素ガス発生装置※1の製造・販売を行うエア・ウォーター・ベルパールは、コンパクトなサイズのまま高効率な空気分離性能を実現した「ベルスイング®NSP-Pro」シリーズを新たに開発し、 4 月 1 日より販売を開始する。

「ベルスイング ® NSP Pro」シリーズ
「ベルスイング ® NSP Pro」シリーズ

 エア・ウォーター・ベルパールが製造するPSA 式窒素ガス発生装置は、ユーザーの使用量に適応する幅広いラインナップがあり、さらに窒素純度も 97%~99.99%まで必要に応じた機種選定が可能。今回開発した「NSP-Pro」シリーズは、中型 PSA 式窒素ガス発生装置「NSP」シリーズの新製品となる。窒素純度99.99%・60N ㎥/h の発生能力を有し、従来機と比べ設置面積を約 10%削減、さらに、窒素ガスの吸着性能を向上させたことで、消費電力を最大27%削減※2 することができる。

PSA 式窒素ガス発生装置
PSA 式窒素ガス発生装置

 PSA 式窒素ガス発生装置は、エレクトロニクス分野でのはんだ付け時のリフロー工程や、金属分野での熱処理工程、化学分野での防爆や樹脂成型工程、食品分野での保存や包装工程など多岐にわたる用途で使用されている。こうした業界では、省エネルギー化や脱炭素に向けた取り組みを率先して進めており、ガス発生装置にもより一層の高効率化が求められている。一方で、省エネ対応を優先すると装置の大型化が避けられず、設置面積の制約が導入時の課題となっていた。エア・ウォーター・ベルパールは、こうした状況を踏まえ、コンパクトサイズであり、かつ高い省エネ性能を実現する装置開発に取り組んできた。

 「NSP-Pro」シリーズは、エア・ウォーター・ベルパールが独自開発したフェノールを原料とする吸着材※3 を採用する。窒素収率がより優れた新開発の吸着材を使用、さらに耐久性の向上を図ることで、メンテナンスサイクルについても従来機と比較して約 1.3 倍(約8,000 時間まで耐用可能)となった。また、消費電力コストおよび CO2 排出量は従来機と比較して最大 27%削減すると同時に、さらなる低騒音化や高圧での窒素供給にも対応している。

※1 )PSA とは、Pressure Swing Adsorption の略で、「圧力スイング吸着」と呼ばれるガスの吸着分離法の一つ。吸着材を 2 基の吸着塔に充填し、吸着・脱着を交互に繰り返すことで、連続的に高純度の窒素ガスが得られる。

※2 )吸着性能の向上により、コンプレッサをサイズダウンし、最大27%の消費電力コストの削減を実現した。電気料金15 円/kWh、8,000 時間/年運転で試算した場合、従来機と比較し年間84 万円のコスト低減となる。

※3) 独自開発したフェノールを原料とするCMS(カーボン・モレキュラー・シーブス)吸着材は、加圧下で原料空気を取り込むと、空気中に含まれる窒素分子と酸素分子のうち、比較的分子サイズが小さい酸素分子を優先的に吸着する性質を持つため、残りの窒素分子を分離・回収することができる。「ベルファイン」シリーズは、自社で開発した特殊フェノール樹脂を原料に、高度な造粒・細孔制御技術により製造される。