岩谷産業 2023年3月期第1四半期連結決算

増収増益、第1四半期としては過去最高益

 岩谷産業の2023年3月期第1四半期連結決算は、売上高2038億0300万円(前年同期比40.1%増)、営業利益89億1300万円(同13.8%増)、経常利益114億1500万円(同22.4%増)、親会社株主に帰属する純利益77億4300万円(同28.7%増)だった。

 中期経営計画「PLAN23」の基本方針である「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組んだ。

 脱炭素社会の実現に向けては、地域の再生可能エネルギーと水素を組み合わせ、エネルギーの地産地消拡大・社会課題解決を図る事業可能性調査を開始した。兵庫県淡路地域では、蓄電池を水素製造装置と組み合わせて運用し、熊本県阿蘇郡では、未利用の地熱エネルギーを水素製造に活用する等、地域産業等への安価で安定的な水素利活用モデルの構築を目指す。

 総合エネルギー事業では、6月に東京ガスエネルギー株式会社の株式譲受完了により、株式会社エネライフが発足し、LPガス事業の顧客基盤の更なる強化を図った。また、デジタル化の推進については、「イワタニゲートウェイ」のデータ収集・分析機能を活用し、要介護リスクの早期検知および予防サービスの開発に向けた実証試験を行う等、地域社会の暮らしを支える新サービスの創出に取り組んだ。

 産業ガス・機械事業では、米国でヘリウムの販売を開始するとともに、中国や東南アジアにおいて製造拠点の整備を進める等、海外事業の拡大に取り組んだ。

 マテリアル事業では、希少資源であるチタン鉱石について、ノルウェーの新規鉱区における権益を確保し、調達ソースの多様化による安定供給体制の強化を図った。

セグメント別の経営成績

【総合エネルギー事業】

 LPガス輸入価格が高値で推移したことや、民生用・工業用LPガスの販売増加に加え、新規連結の影響もあり、増収となった。利益面については、LPガスの小売部門における収益性改善や市況要因がプラス(前年同期比9億3900万円の増益)となったことにより、増益となった。

 売上高は916億2700万円(同267億80百万円の増収)、営業利益は52億8300万円(同11億5000万円の増益)。

【産業ガス・機械事業】

 エアセパレートガスについては、自動車関連業界向けを中心に販売数量が減少したことに加え、電力料金の上昇により製造コストが増加した。水素事業は、液化水素の販売は伸長したが、水素ステーションの増設に伴う運営費用が増加した。ヘリウムについては世界的に需給がひっ迫する中、市況の上昇により収益性が改善したが、機械設備は部品不足等で納期を要し販売が減少した。また、新規連結の影響による一時的な費用が発生した。

 売上高は484億110万円(前年同期比66億0400万円の増収)、営業利益は15億6200万円(同11億5100万円の減益)。

【マテリアル事業】

 ミネラルサンドについては、世界的なサプライチェーンの混乱により市況が高騰する中、安定供給を確保できたことで大幅な増収増益となった。また、低環境負荷PET樹脂、二次電池材料等の環境商品が堅調に推移したことに加え、ステンレスは新規顧客への販売が伸長した。

 売上高は555億5200万円(前年同期比228億9000万円の増収)、営業利益は27億0300万円(同13億2200万円の増益)。

【自然産業事業】

 業務用冷凍食品の需要回復に加え、一般消費者向け冷凍食品の販売が増加したが、仕入コストおよび物流費が上昇した。また、畜産設備の販売は増加したが、農業設備案件が減少した。

 売上高は72億0100万円(前年同期比22億7700万円の増収)、営業利益は1100万円(同7200万円の減益)。

【その他】

 売上高は10億1000万円(前年同期比1億7400万円の減収)、営業利益は2億9800万円(同3000万円の減益)。