日本酸素HD 2023年3月期第3四半期連結決算(IFRS)

セパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少

 日本酸素ホールディングスの2023年3月期第3四半期連結決算は、売上収益8730億4200万円(前年同期比26.2%増)、コア営業利益875億3700万円(同14.7%増)、営業利益843億9800万円(同10.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益524億0000万円(同4.5%増)だった。

 当該期間におけるグループの事業環境は、ウクライナの地政学的問題、米中貿易摩擦、世界的なエネルギーコストの高騰や物価上昇、円安の進行など、先行きを見通すことが困難な厳しい状況となった。この結果、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少した。一方で、価格改定、コスト回収、価格マネジメント、堅実な生産性向上への取組みに、グループ全体で注力した。

 為替影響は、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで111円45銭から136円85銭へと25円40銭(同 22.8%増加)の円安、ユーロで130円96銭から140円83銭へと9円87銭(同 7.5%増加)の円安、豪ドルで82円69銭から93円16銭へと10円47銭(同 12.7%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約627億円、コア営業利益は全体で約79億円多く表示されている。

セグメント業績(セグメント利益はコア営業利益で表示)

日本

 産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス及びLPガスにおいて出荷数量は減少したものの、コスト上昇に伴う販売価格の上昇により増収となった。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの販売は堅調で増収。機器・工事では産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、前期に比べ増収となった。

 一方で、エネルギー価格や物価上昇の影響に伴う製造コスト及び物流費等の上昇が続いており、販売価格の上昇との間に時間差があることから減益となった。

 売上収益は、3005億5000万円(前年同期比12.7%増加)、セグメント利益は、201億3600万円(同 10.4%減少)

米国

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は前期並みだったが、売上収益はコスト上昇に伴う販売価格の上昇により増収となった。また、炭酸ガスについては特にドライアイスの販売が好調だった。

 機器・工事では、溶接・溶断関連機材で前期に比べ大幅に増収となった。一方、エレクトロニクス関連の販売は前期並みとなった。

 売上収益は、2236億0800万円(前年同期比 36.2%増加)、セグメント利益は、260億9900万円(同 27.7%増加)。円安の為替影響で売上収益は約374億円、セグメント約利益は47億円のプラス。

欧州

 主力製品であるセパレートガスは、客先稼働状況により出荷数量が減少したが、エネルギー価格と物価上昇の影響等の大幅なコスト上昇を販売価格の上昇で吸収できた結果、売上収益は大幅な増収となった。また、生産性向上とコスト低減の取り組みによる寄与があった。

 売上収益は、2033億0200万円(前年同期比36.2%増加)、セグメント利益は、253億8700万円(同 30.7%増加)。円安の為替影響で売上収益は約112億円、セグメント利益は約14億円のプラス。

アジア・オセアニア

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は堅調に推移し、売上収益は増収となった。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、引き続き仕入れ価格の上昇による販売単価の上昇と堅調な販売数量の推移により増収となった。エレクトロニクス関連では、ガス・機器ともに好調に推移し、増収となった。

 売上収益は、1228億6800万円(前年同期比 35.3%増加)、セグメント利益は、123億2100万円(同 26.6%増加)。円安の為替影響で売上収益は約133億円、セグメント利益は14億円のプラス。

サーモス

 日本では、2022 年春に政府による外出等の制限が緩和されたことから、ケータイマグやスポーツボトルの販売が堅調であったことに加え、フライパンなどの調理用品も好調に推移し、売上収益は大幅な増収となった。海外での販売も順調だった。

 一方で、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で減益となった。

 売上収益は、226億3900万円(前年同期比 11.2%増加)、セグメント利益は、44 億7500万円(同 9.7%減少)。