岩谷産業と豊田通商、日揮HDが「廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会」発足

家庭から排出される廃プラスチックを水素へ

 岩谷産業と豊田通商株式会社(代表取締役社長:貸谷 伊知郎、以下「豊田通商」)、日揮ホールディングス株式会社(代表取締役会長CEO:佐藤 雅之、以下「日揮 HD」)の 3 社は、廃プラスチックガス化設備を活用した低炭素水素製造事業(以下「本事業」)の実現に向けて、14 の会員自治体と、12 のオブザーバー(下段に詳細を記載)と共に、廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会(以下「検討会」)を発足し、第 1 回検討会を実施した。

「廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会」 第 1 回検討会
「廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会」 第 1 回検討会
第1回「廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造検討会」

 世界的な社会課題となっている廃プラスチックによる環境汚染に対して、事業者や行政による循環システムの確立が進められている。2022年 4 月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、プラ新法)」により、各自治体は、容器包装プラスチック以外も含めたプラスチックごみ全般の再商品化が求められるようになった。またプラ新法では、自治体と再商品化事業者が連携し、再商品化の効率化を図る仕組みが新たに設けられており、収集や選別費用の削減が期待されている。

 本検討会では、再商品化手法の一種であるガス化ケミカルリサイクルを用いた各地域の大規模プラスチック資源循環システムの構築と、中部圏での先進的な地産地消低炭素水素供給システムの確立を目的とし、各地域で発生する廃プラスチックの効率的な収集を検討する。また、プラスチックの分別仕様、回収・輸送方法を検討すると共に、自治体でのプラスチックリサイクルに関する情報交換や、勉強会、発表会、関連会社視察といった活動・人脈・ネットワーク形成を通じて、中部圏におけるプラスチックごみの再商品化率向上に貢献できるよう取り組む。

「廃プラスチックのケミカルリサイクルによる水素製造」事業スキームイメージ
事業スキームイメージ

 岩谷産業、豊田通商、日揮 HD の3社は、自治体のとの今回の検討会発足により、本事業の重要な要素となる廃プラスチックの回収量確保を目指すとともに、本事業を通じて、脱炭素社会の実現や資源循環の促進に貢献するとしている。

検討会参加自治体 計 14 市町村

  • 愛知県:2 市町村
  • 岐阜県:7 市町村(各務原市、多治見市、中津川市、恵那市、下呂市、山県市など)
  • 三重県:4 市町村(熊野市、紀宝町など)
  • 静岡県:1 市町村

オブザーバー 計 12 政府・自治体・団体・大学

  • 政府 :中部経済産業局、環境省中部地方事務所
  • 自治体:6 自治体(愛知県経済産業局、静岡県くらし・環境部など)
  • 団体 :3 団体(海部地区環境事務組合など)
  • 大学 :名古屋大学

事業概要

水素サプライチェーンのモデルイメージ
  • 水素製造開始:2020 年代中頃(目標)
  • 水素製造能力:1.1 万 t/年(廃プラ回収量:8 万 t/年)
  • 製造する水素の低炭素性:天然ガスからの水素製造と比較し、温室効果ガス排出量を 85%削減(※)

※2022 年 2 月、NEDO 委託事業として日揮ホールディングス㈱および、米国岩谷会社にて実施した「カリフォルニア州における地産地消型水素製造・利活用ポテンシャルに関する調査」による結果。

過去のプレスリリース

愛知県名古屋港近郊における廃プラスチックガス化設備を活用した水素製造事業の協業検討に関する基本合意書を締結(PDF)

「都市部における廃プラスチックガス化リサイクルによる地域低炭素水素モデル構築に向けた調査」がNEDO 委託事業で採択(PDF)