Nippon GasesとSarralle社が、グリーン水素のみを燃料とする世界初の取鍋予熱装置を導入

ArcelorMittal社のSestaoプラントで天然ガスから転換

 日本酸素ホールディングスグループの欧州事業会社であるNippon Gases(NGE)は、カーボンニュートラルとサステナビリティに関する取り組みをサポートする企業として、Sarralle社の協力のもと、製鋼プロセスにおいてグリーン水素を利用できる最先端の技術をArcelorMittal社のSestaoプラントに導入した。これは、CO2排出量ゼロを実現する、グリーン水素のみを燃料とした世界初の取鍋予熱装置となる。

 この成果は、他のイノベーションや技術とともに、ArcelorMittal社のSestaoプラントにおいて、2025年までに製鋼工程全体のCO2排出量をゼロにするという目標に向けた重要な一歩を踏み出すことを可能にする。

 今回のプロジェクトは、現行の取鍋予熱作業を改善し、燃料を天然ガスからグリーン水素に転換することにより、CO2排出量を最小限に抑えることを目的とした。その結果、燃料としてグリーン水素のみを使用し、取鍋を加熱した場合、全ての条件において、必要とされる温度に昇温することを実証。加えて、昇温速度の増減、取鍋の均一な加熱、乾燥を実現し、取鍋の最上部から最下部に至る内部温度と外部温度が、予想される範囲に収まっていることが確認でき、鋳造に必要な温度条件もクリアした。 また流量測定を実施したことで、推定水素消費量を把握でき、耐火物にも悪影響が生じないことを確認している。グリーン水素のみを使用し、取鍋の加熱、乾燥を実施したところ、良好な結果となった。

 再生可能エネルギーから作られるグリーン水素の開発は、既に実現しているが、この技術はカーボンニュートラル実現に向けた鍵になると考えられており、欧州では、戦略的な投資が既に行われている。

 ArcelorMittal社のSestaoプラントにおける取鍋加熱装置用に供給される水素は、Hernani (Gipuzkoa県)に位置するNGEのプラントで生産されたものであり、再生可能エネルギーを使用して製造されている。

 当プロジェクトは、カーボンニュートラルを目指す道のりにおいて、新しい水素・酸素燃焼システムがこれまでの取鍋予熱昇温速度を再現する能力を備えているだけではなく、CO2排出量ゼロへの取り組みを可能にするものであり、標準的な天然ガス・酸素燃焼による操業を上回る燃料効率を実現することを実証している。

 Sarralle社について

 Sarralle社は、1965年にスペインのAzpeitiaに設立された企業グループで、環境、エネルギー、鉄鋼分野のエンジニアリング業におけるリーディングカンパニー。同社は、設計・エンジニアリング・製造・据付業務を担っており、世界9ヵ国以上で 700人以上の高い技術を持った従業員が幅広く活躍している。5つのビジネスライン(金属加工、圧延機、加工ライン、環境・エネルギー、作業場・在庫管理システム)に沿って、これらの分野の機器や設備の設計、エンジニアリング、製造、組立、試運転におけるソリューションを世界中で提供している。

 Nippon Gasesについて

 Nippon Gases(ニッポンガシズ)は、ヨーロッパにおける産業・医療ガスのリーディングカンパニーとして、100年以上の歴史を持つ日本酸素ホールディングスグループ(30超の国と地域をカバーする世界第4位の産業ガス、電子ガス、医療用ガスのサプライヤー)の欧州事業の中核を担っている。Nippon Gasesは、約3000名の従業員(女性割合27%)と共に、13カ国で事業を展開し、15万以上の顧客にガス供給サービスを行っている。中でも安全性は、最優先事項として、リスク管理、全従業員による安全方針の遵守により、継続的に向上している。サステナビリティに向けた取り組みは、顧客、従業員、そして地域社会に対するコミットメントと認識。「The Gas Professionals」であり、「ガスで未来を拓く」という同じ目標を共有する。
https://nippongases.com/