三菱重工業、英国初の製油所からのCO2回収技術ライセンサーに選定

英国チェシャー州・スタンロー製油所向けにCO2回収技術を提供

 三菱重工業は、インドを拠点とするコングロマリットであるエッサール・グループの英国石油部門エッサール・オイル・UK社(Essar Oil UK Limited)がイギリス北西部チェシャー州に所有するスタンロー製油所(Stanlow Refinery)向けCO2回収プロジェクト「EET インダストリアル・カーボン・キャプチャー(EET Industrial Carbon Capture)」において、CO2回収技術ライセンサーに選定された。

 本プロジェクトは、既設製油所の石油精製過程においてボイラーから排出されるCO2を回収し、英国初となるCO2回収を通じた低炭素の製油所の実現を目標とするもので、2028年のCO2回収プラント運転開始を目指す。本プロジェクトの遂行に当たり、三菱重工はCO2回収技術ライセンサーとしてプラントの基本設計パッケージ(PDP:Process Design Package)の提供を行う。また、英国北西部のHyNet CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)クラスターの一部として、年間約86万トンのCO2が回収され、回収されたCO2はリバプール沖の枯渇ガス田に貯留される予定。

英国チェシャー州 スタンロー製油所(エッサール・オイル・UK社提供)
英国チェシャー州 スタンロー製油所(エッサール・オイル・UK社提供)

 英国政府は2050年までのCO2排出量ネットゼロを掲げており、CO2の回収から輸送、貯留までを工業地帯ごとに一貫して実施する目的で、CCUSクラスターの構築をはじめとするインフラ整備を進めている。2021年10月には、HyNetとEast Coastの2つのCCUSクラスターが当時の英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS、現 英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省:DESNZ)(注)によってCCUSクラスターとして選定された。

 エッサール・オイル・UK社は、英国内における同社アセットのエナジートランジションを積極的に推進しており、向こう5年間で同社石油精製事業の脱炭素化に約1,800億円($1.2billion)の投資を計画している。

(注)BEISの正式名称は「Department for Business, Energy and Industrial Strategy」、DESNZの正式名称は「Department for Energy Security and Net Zero」。DESNZは、BEISの分割再編により2023年2月に創設された。