エベロ社と三菱重工、英国北西部バイオマス発電所からのCO2回収プロジェクトで技術提携

インス・バイオマス発電所へCO2回収技術提供、年間25万トンのCO2排出量削減目指す

インス・バイオマス発電所(エベロ社提供)
インス・バイオマス発電所(エベロ社提供)

 低炭素な廃棄物発電(注)のリーディングカンパニーである英国のバイオマス発電事業会社・エベロ社(Evero Energy Group Limited)と三菱重工業は、英国のバイオマス発電所からCO2を回収・貯留するInBECCS(Ince Bioenergy with Carbon Capture and Storage)プロジェクトで技術提携する。

(注)廃棄物をエネルギー源に電気や熱をつくる仕組みで、「Waste-to-Energy(WtE)」や「Energy-from-Waste(EfW)」とも呼ばれる。

 InBECCSプロジェクトは、エベロ社が、英国北西部チェシャー州のHyNet CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)クラスター近傍に所有するインス・バイオマス発電所にCO2回収プラントを設置、回収後のCO2を貯留することで年間25万トンのCO2排出量削減を目指す。2029年の運転開始後に見込まれる削減量は、英国政府が掲げるGreenhouse Gas Removals(GGR)部門における2030年の温室効果ガス削減目標の約5%達成に寄与する。

 バイオマス発電とCO2回収を組み合わせたBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)は、大気中からのCO2削減を実現する現在利用可能な技術の中で最大規模のCO2削減能力を有し、英国のネットゼロ達成を支援する上で重要な役割を果たす。英国政府が2023年8月に発表したバイオマス戦略によると、インス・バイオマス発電所で使用されている廃棄木材を燃料とするBECCSは、持続可能性の高い手段の1つであることが認められている。

 本プロジェクトには、三菱重工が関西電力と共同開発した独自のCO2回収技術「Advanced KM CDR Process™」が適用される。インス・バイオマス発電所へのCO2回収技術の提供を通じて英国CCUS事業を強力に推進するとともに、地球規模での温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを進めていく。