大陽日酸と奈良高専、金属3Dプリンターで金属積層技術の共同研究開始

「起業家工房」で創造的技術者を育成

 大陽日酸と独立行政法人 国立高等専門学校機構奈良工業高等専門学校 (奈良県大和郡山市、近藤 科江 校長、以下「奈良高専」)は、2024年1月より、金属3Dプリンターを用いた金属積層技術の共同研究を開始した。

導入された金属3Dプリンター「Conflux1」
導入された金属3Dプリンター「Conflux1」

 共同研究にあたり、 大陽日酸の商材の一つである Rapidia 社(加)の最新鋭金属3D プリンター Conflux1 を奈良高専に導入した。Conflux1 は金属の小型部品を1日で造形できる金属3Dプリンターで、より手軽により短時間で造形可能という特徴を有する。奈良高専には金属3Dプリンターによるものづくりに関する教育、研究の実績があり、学生や教員がその知見や技術を生かし、試行錯誤を繰り返しながら自由な発想で造形し、新しいアイデアを形にする研究に本プリンターを活用する。

3Dプリンターの引き渡し式(左:大陽日酸イノベーションユニット 小林ユニット長、右:奈良高専 近藤校長)

 大陽日酸は、金属3Dプリンター等を用いて、さまざまな形状の製品を製造する金属アディティブマニュファクチャリング(以下、金属AM)分野で、自社で保有する溶接プロセス、ガス精製、熱処理等の産業ガスアプリケーション技術を応用したAMソリューションビジネスを展開している。

 一方、奈良高専では激化するグローバルな競争の中、新たな価値を生み出すことができるエンジニアの育成を推進しており、敷地内に「起業家工房」を設置するなどの施策を実践する。その起業家工房では、最先端のデジタル技術と従来のアナログ技術の融合により、いつでも学生が考えたアイデアをすぐ形にできる環境を整えている。また、同校では「奈良工業高等専門学校地域イノベーションコンソーシアム」を運営しており、教育・研究機能を活用した共同研究や、先端技術の地域産業への移転など、学校内にとどまらず地域での包括的なイノベーションも推進する。

 今回、金属AMの普及に向けた大陽日酸の戦略と、創造的技術者を育成するという奈良高専の教育方針および同校の産学官連携の活動方針が合致、共同研究を実施する運びとなった。大陽日酸では「本共同研究が日本の金属AMや新しいモノづくりの発展に繋がることを期待している」としている。