高圧ガス工業 2023年3月期通期連結決算

建設・土木、造船業界向け溶解アセチレンは出荷数量が減少も、価格改定で売上高は前期比増加

 高圧ガス工業の2023年3月期通期連結決算は、売上高914億6900万円(前年同期比10.8%増)、営業利益51億1600万円(同8.3%増)、経常利益58億0900万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する純利益39億4100万円(同5.0%減)だった。配当金は中間配当8円、期末配当が普通配当8円と記念配当2円の年間配当金18円として2円の増配とした。

 セグメント別の経営成績は次のとおり。

ガス事業

 売上高は675億5700万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は56億9000万円(同27.8%増)。

 ガス事業を取り巻く環境は、半導体、自動車、建設など仕向け先において、需要が回復せず、更に原材料価格の高騰が続く厳しい状況で推移した。こうした事業環境のなか、シリンダーガスビジネスの持続的な成長や収益の改善を目指し、生産・販売体制の見直しや安全・保安対策の強化、既存設備の更新などの投資を行ない、地域に密着した営業に努めた。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、環境負荷の低い液化アンモニアや水素ガス等の供給網整備や溶解アセチレンを用いた新素材の研究開発を進めている。

 『溶解アセチレン』は、建設・土木などの現場関係及び造船業界向けの出荷数量が減少したものの、原材料価格の高騰による価格改定により、売上高は前期を上回った。

 『その他工業ガス等』は、全般的に出荷数量は減少したが、原材料価格の高騰による価格改定やアルゴンが現場工事及びスポット需要の獲得、エアゾールガスが新規獲得、また、LPガス等の石油系ガスでは輸入価格の高騰に伴なう販売価格の上昇によりそれぞれ増加し、売上高は前期を上回った。

 『溶接溶断関連機器』は、、設備工事や工作機械等の受注が回復し、売上高は前期を上回った。

 『容器』は、消火設備装置向け容器の需要回復と原材料価格の高騰による価格改定により、売上高は前期を上回った。

化成品事業

 売上高は206億5800万円(前年同期比11.6%増)、営業利益は原材料価格の上昇の影響を大きく受け、9億3700万円(同40.4%減)。 

 原材料価格の高騰や、供給制限、供給不足が続く厳しい状況で推移した。仕向け先への製品の安定供給に努め、また、新しい技術の開発に注力し、環境にやさしい製品や付加価値の高い製品づくりに努めた。

 『接着剤』は、ペガールが木工用が減少したものの、塗料用及び紙用が新製品の開発により増加した。シアノンが南米向けが減少したものの、北米向け高機能品及び韓国・東南アジア向けコンシューマー用の需要が増加した。ペガロックが中国向けがロックダウンの影響により減少し、また、国内向けが住宅設備関係の需要が減少した。売上高は、接着剤全般の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり前期を上回った。

 『塗料』は、建築用塗料が高機能品の「ウォ-ルバリアシリーズ」や「ビーズコートシリーズ」の伸長や塗料製品の原材料価格の高騰に伴なう価格改定もあり増加し、また、エアゾール製品は需要が回復し、売上高は前期を上回った。

その他事業

 売上高は32億5300万円(前年同期比7.9%増)、営業損失は3100万円の赤字(前年同期は5500万円の営業利益)。

 LSIカード関連の需要が減少したものの、食品添加物の需要が増加し、価格改定もあり売上高は前年を上回った。

今後の見通し

 2024年3月期通期連結業績予想は、売上高950億円(前期比3.8%増)、営業利益57億円(同11.4%増)、経常利益61億円(同5.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益41億円(同4.0%増)を見込む。配当金は中間9円、期末9円の年間18円を予想する。