エア・ウォーターと帯広ガスが都市ガスに家畜ふん尿由来のバイオメタン活用の共同実証を実施

LBMを代替燃料として5t添加、都市ガスを利用する一般ユーザーへのLBM供給は国内初

 帯広ガス株式会社(代表取締役社長:内木真紀衣、本社:帯広市、以下「帯広ガス」)とエア・ウォーターは、北海道十勝地方の未利用バイオマスである家畜ふん尿から製造した液化バイオメタン(Liquefied Bio Methane、以下「LBM」※1)を、帯広ガス供給区域内の都市ガスとして利用する実証を実施した。

都市ガス原料としてLBMを供給する様子
都市ガス原料としてLBMを供給する様子

 本実証では、エア・ウォーターが環境省に採択され事業化を推進するLBMの技術開発・実証事業※2の下、2023年7月19日に帯広ガスの都市ガス供給区域内(大空町を除く帯広市全域)において、北海道十勝地方で家畜ふん尿から製造されたLBMを都市ガスの原料であるLNGの代替燃料として約5tを添加した。都市ガスを利用している個人・一般のユーザーに向けて、LBMを供給するのは国内初の試み※3となる。

 LBMは、バイオガスをメタンと二酸化炭素に分離し、そのメタンを液化したものであり、LNGの主成分であるメタンと同一であることから、既存の供給システムをそのまま活用することが可能になる。本実証においても、帯広ガスが使用するタンクローリーや加圧機といった輸送や消費に関わる機器に影響を及ぼさないことも併せて確認した。

 今後、両社は、実用化に向けて、使用量やコストなどの課題を検討するとともに、互いの知見を生かし、酪農家や地域社会と連携しながら、エネルギーの低炭素化に貢献するとしている。

LBM製造、都市ガス等での利用に関するサプライチェーン
LBM製造、都市ガス等での利用に関するサプライチェーン

※1 LBMは、酪農家が保有するバイオガスプラントから発生した未利用バイオガスを回収した後、その主成分であるメタンを分離・精製し、約-160℃で液化したもの。メタンは液化することにより容積を1/600に圧縮できるため、一度に大量のメタンを輸送することが可能になる。また、家畜糞尿が原料のため、カーボンニュートラルな国産エネルギー。

※2 CO2 排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「未利用バイオガスを活用した液化バイオメタン地域サプライチェーンモデルの実証事業」
https://www.env.go.jp/press/2021/04/16/files/jp/116119.pdf (PDF)

※3 エア・ウォーター調べ(2023年8月現在)。上記実証事業にてエア・ウォーターが国内で唯一LBMを製造していることから、都市ガスとしての利用も国内初の事例となる。