岩谷産業、銅とステンレスのアーク溶接を実現する新技術で特許出願

「銅鉄合金溶加材」を用いたTIG溶接、マイナス40℃の環境下で十分な引張強度

 岩谷産業は、独自に開発した銅鉄合金溶加材を用いることによりステンレス配管と銅配管を溶接する技術を開発した。

 従来から銅とステンレスの主成分である鉄とは水と油のようなもので、混ざると合金を形成せず、金属を溶かして合金を形成するアーク溶接技術の確立は困難と言われていた。しかし、独自に組成などを開発した「銅鉄合金溶加材」を使用し、TIG アーク溶接法※1 を用いた結果、室温および低温環境下でも十分な引張強度を有する継手を得るための溶接技術を確立した。

※1 TIG アーク溶接法:電極棒に消耗しない材料のタングステンを使用して、別の溶加材をアーク中で溶融して溶接する方法

 この現象を解明するために、東北大学大学院工学研究科材料システム工学専攻 佐藤裕教授より、溶接部の金属組織に関して学術指導を受け、透過型電子顕微鏡(TEM)で接合部の金属組織を観察すると、金属結合が存在していることが確認できた。

 最近の銅市場は、世界的な鉱物資源需要拡大に伴い価格も高騰し、調達が困難になりつつある。これらの環境変化を受け、空調業界の冷媒配管に対して使用する銅の使用量を削減する動きがあるが、岩谷産業の開発した銅鉄合金溶加材を用いた接合技術を用いると、銅配管の一部をステンレス配管に変更することが可能で、高価な銅の使用量を削減することができる。岩谷産業では現在、溶加材メーカーと共同で量産体制の構築を進め、2024年には市場に供給する。

銅ステンレス継手外観写真
銅ステンレス継手外観写真
銅ステンレス継手 TEM 写真
銅ステンレス継手 TEM 写真

開発した銅・ステンレス継手部の特徴

  1. マイナス40℃の環境下において引張試験を実施しても母材より破断し、溶接部から脆性破壊などの破断は生じない。
  2. 疲労試験において、配管耐圧と大気圧を 200 万回繰り返しても疲労破壊は生じない。配管耐圧以上の応力では、溶接部から破壊は生じず、母材が破壊する。
  3. 従来の配管を溶接する技術があれば、今回開発した銅鉄合金溶加棒を用いることにより容易に溶接施工が可能。また溶接の自動化についても開発中。