レゾナックHD 2023年12月期第3四半期連結決算

化学品は原燃料価格上昇に対応した価格転嫁が進み、増収増益

 レゾナック・ホールディングスの2023年12月期第3四半期連結決算は、売上高9423億0700万円(前年同期比8.9%減)、営業損益43億0900万円の損失(前年同期は547億4800万円の営業利益)、経常損益71億5000万円の損失(同653億2800万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益63億6700万円の損失(同366億7800万円の純利益)となった。

 通期の業績予想を修正し、売上高1兆2900億円(前年同期比7.4%減、前回予想比200億円増加)、営業損益120億円の損失(前年同期は617億2600万円の営業利益、同80億円増加)、経常損益210億円の損失(同617億1100万円の経常利益、同50億円増加)、親会社株主に帰属する純損益430億円の損失(同324億2200万円の純利益、同60億円減少)とした。年間配当金の予想は前回予想の65円を維持した。

 売上⾼は、主に半導体・電⼦材料セグメント及びケミカルセグメントの増収を⾒込み、通期予想を上⽅修正した。営業利益は、売上⾼予想の上⽅修正及び全社共通費⽤の削減等により、通期予想を上⽅修正、経常利益は、営業利益の上⽅修正に伴い、通期予想を上⽅修正した。

 ⼀⽅、親会社株主に帰属する当期純利益は、第3四半期には診断薬事業譲渡益243億円を特別利益として計上したが、特別損失としてハードディスクメディア事業再編等に伴う構造改⾰費⽤の計上を⾒込み、通期予想を下⽅修正した。構造改⾰費⽤には特別退職⾦65億円や減損損失41億円が含まれる。

 第3四半期連結累計期間の売上高は、ケミカルセグメントでは増収となった。石油化学における数量増(前年同四半期連結累計期間は4年に一度の大型定修を実施)、黒鉛電極、基礎化学品における販売価格の上昇等がそれぞれ増収の要因。半導体・電子材料セグメントは、半導体、電子材料関連業界の調整の影響により減収、モビリティ、イノベーション材料の2セグメントも減収となった。

 営業損益は、モビリティセグメントは自動車部品の数量増、イノベーション材料セグメントは主に値上げ効果により増益。半導体・電子材料セグメントは大幅な減益となった。ケミカルセグメントは黒鉛電極の受払差のマイナス影響等により減益。営業外損益は、前年同四半期連結累計期間に比べ為替差益の減少と持分法による投資利益の減少が見られ、全体では損失の増加となった。親会社株主に帰属する四半期純損益は、事業譲渡益はあったものの法人税等が増加した。 

当期の関連するセグメント別概況

【半導体・電子材料セグメント】

 半導体前工程材料および半導体後工程材料は、前年後半からの半導体市場の低迷により減収となった。デバイスソリューションは、SiCエピタキシャルウェハーが増収となったものの、HDメディアが前年第4四半期からのデータセンター向け需要低迷が継続したことにより、大幅減収。セグメント売上高は2416億9700万円(前年同期比27.3%減)、営業損益は、HDメディアの棚卸資産において、低価法による簿価切り下げや廃棄損を計上し、124億6300万円の損失(前年同期は405億2000万円の営業利益)

【ケミカルセグメント】

 石油化学は前年に4年に一度の大型定修による停止があったため前年同四半期連結累計期間比で増収増益となった。化学品は、原燃料価格上昇に対応した価格転嫁が進み、増収増益。黒鉛電極は原価上昇にキャッチアップした値上げにより増収となるも、受払差のマイナス影響により減益となった。セグメント売上高は3847億2700万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は102億1400万円(同47.1%減)。