理研計器 2024年3月期通期連結決算

定置型ガス検知警報機器は半導体設備投資の調整局面で軟調

 理研計器の2024年3月期通期連結決算は、売上高455億8100万円(前年同期比1.3%増)、営業利益114億7600万円(同0.7%減)、経常利益122億7200万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する純利益83億7800万円(同3.4%減)だった。

 主要顧客である半導体業界が在庫調整局面段階にあるため設備投資抑制が続き、その収束にはまだ時間を要すると見込む。また、中国におけるリチウムイオン電池業界の低迷もあり、先行きについては当面不透明な状況が続くとしている。

 顧客密着度を高めた営業展開を行うことを目指し国内営業の組織再編、技術力強化のための研究開発部門の組織再編を行い競争力の強化に努めた。海外市場シェアの拡大を図るため、海外子会社へ人材を積極的に派遣するなど、海外子会社の体制の充実を進めた。また、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題にも積極的に取り組み、SDGs、脱炭素化を意識した開発・生産・販売・アフターメンテナンスサービス活動に努めた。

機種別売上の概況

定置型ガス検知警報機器

 売上高は300億5600万円(前連結会計年度比2.9%減)。主要顧客である半導体メーカーや半導体製造装置メーカーの設備投資が一時的な調整局面を迎え、特に、半導体メモリ価格の市況回復が遅れていることから、定置型ガス検知警報機器は「スマートタイプガス検知部 GD-70D」を中心に、売上は一転して軟調に推移した。
 また、中国におけるリチウムイオン電池製造設備投資も供給過剰により一時的に減速し、「炉内セフティモニター SD-2500」を中心に、国内のリチウムイオン電池製造装置メーカー、及び中国の同生産工場向けの売上は横ばいで軟調に推移した。

可搬型ガス検知警報機器

 売上高は143億4400万円(前連結会計年度比11.3%増)。主力機種であるポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」が、北米を中心に堅調に推移した。また、「GX-9000」や「GX-2012」の後継機種として販売を開始した「GX-Force」も売上に寄与した。 

その他測定機器

 売上高は11億7900万円(前連結会計年度比1.1%増)。幅広い業界並びに学術分野におけるこれまでの活用実績を、脱炭素社会実現並びに地球温暖化防止に対するソリューション提供に展開し、引き続き市場開拓に取り組む。

今後の見通し

 主要顧客である半導体業界ではメモリ半導体に対する世界的な需要の減速による在庫調整が発生していることなどから、予断を許さない状況は続くが、中長期的には半導体市場はさらなる成長が見込まれる。

 2025年3月期の通期連結業績予想は、売上高480億円(前年同期比5.3%増)、営業利益118億円(同2.8%増)、経常利益123億円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する純利益90億円(同7.4%増)を見込む。配当金は中間配当20円、期末配当20円の年間配当40円を予想。