小池メディカルが創業50周年、遠隔モニタリング「ImagineS(イマジンズ)」を推進
無線通信SIM搭載の酸素濃縮器「Dr.酸素 5L-ⅡS」の販売開始
小池メディカルは2024年6月、創業50周年を迎えた。親会社である小池酸素工業内に1971年11月に設置された「病院用医療機器配管プロジェクトチーム」がその始まりであり、1974年6月5日に小池酸素工業と英国産業ガスメーカーのBOCとの合弁会社として誕生したのが、小池メディカルの前身の小池BOCとなる。創業時は病院の医療ガス供給装置や配管設備、医療機器など院内設備の施工会社としてスタートし、その後、笑気ガスの販売や院内機器の吸引器「ヨックス」の開発、滅菌ガスの製造販売などを経て、1988年に在宅酸素療法(HOT)の酸素濃縮器「マーク5」の販売を開始して、在宅医療分野へ参入した。現在では、睡眠時無呼吸症候群患者の治療に使用されるCPAP(持続陽圧呼吸療法)装置や高気圧酸素治療装置、酸素流量計、HOTの携帯用酸素ボンベ関連製品、パルスオキシメーター、睡眠評価装置、呼吸同調器など、様々な医療機器・サービスを提供している。
在宅医療強化で遠隔モニタリングシステム「ImagineS(イマジンズ)」の提供開始
2018年には国内医療制度の在宅医療強化や、地域医療構想の推進に対応するため、遠隔モニタリングシステム「ImagineS(イマジンズ)」の提供を開始した。「ImagineS(イマジンズ)」はHOTやCPAP患者が、在宅で使用する医療機器のデータを取得してインターネット上にある「ImagineS(イマジンズ)」のサーバーで管理するもので、患者を担当する医師は「ImagineS(イマジンズ)」を通してパソコンやスマートフォンなどから機器の状況や活動データを確認することができる。医療機関側からは、単にデータを見るだけでなく、担当患者の一覧リストでの管理や毎月の医療指導・管理記録の保存、データの表やグラフ化など指導管理の向上が期待でき、診療報酬の遠隔モニタリング加算や遠隔診療にも対応することが可能になる。
また、スマートフォンの「小池の在宅アプリ」を利用することで、日々の治療状況の変化を本人が自分で確認して治療へのモチベーションアップに繋げたり、離れた場所に住む家族が機器の使用状況をチェックして、見守りのための便利なツールとしての使用もできる。さらに、患者を囲む医師、看護師、技師、ケアマネジャー、家族に加え、「ImagineS(イマジンズ)」や在宅医療機器レンタルのサービスを行う事業者までを含めた在宅医療に関わる関係者全員の連携を強化し、治療の質の向上や安心感を高めることが期待されている。
「ImagineS(イマジンズ)」には、装置異常時のアラート機能、住所や連絡先を地図上に表示する機能もあり、在宅医療サービス事業者の機器メンテナンスのための稼働状況の把握、災害時の安否確認にも有効利用される。近年の国内での自然災害発生時には、こうした機能が緊急時における在宅医療事業者側のサービス継続に有効であることが認識されつつあり、医療サービス提供のための労働力不足が深刻化していることから、今後はさらにこうした遠隔モニタリングによるシステム構築が重要になることが予想される。
SIMを搭載することで確実に「ImagineS(イマジンズ)」と連携
小池メディカルでは、2024年2月に携帯電話と同じ無線通信の電波を利用したSIM内蔵の酸素濃縮器「Dr.酸素 5L-ⅡS」の販売を開始した。これまでの従来機種では、患者のスマートフォンにインストールした「小池の在宅アプリ」と酸素濃縮器をBluetoothで接続して「ImagineS(イマジンズ)」へデータを送信していたが、比較的高齢者が対象となるHOT患者にとっては、スマホを介したデータのやり取りは困難なケースも多く、データの取得が安定的にできない場合があった。
「Dr.酸素 5L-ⅡS」では、はじめから「ImagineS(イマジンズ)」と接続することを前提にSIMを内蔵した。このため、患者側にはデータのやり取りに関する機能を意識させることなく「ImagineS(イマジンズ)」へのデータ転送が可能になる。また、リモコンを標準搭載し、専用ボタンで流量設定が離れた場所から変更できたり、5つの警告ランプと7つの音声合成ガイド機能により目と耳で操作内容や各種警報を確認、停電時には停電ライトが点灯するなど、在宅医療の現場となる家庭での使いやすさを重視した設計となっている。
「ImagineS(イマジンズ)」にはすでに、酸素濃縮器やCPAP治療器の他、呼吸同調器の「あお酸歩」やパルスオキシメーターの「サーフィンPOブルー」などの様々な医療機器が対応済み。小池メディカルでは「ImagineS(イマジンズ)」・「小池の在宅アプリ」以外にも、一般患者向けヘルスケアアプリの「小池のバイタル」や、在宅酸素事業者向けの酸素ボンベ運用管理をサポートする「小池のボンベ管理」などのスマートフォン用アプリを展開しており、IoT活用によるデジタル化で在宅医療事業の拡大、医療従事者や医療サービス提供事業者の負担軽減を目指す。