日本酸素HD 2022年3月期第3四半期連結決算(IFRS)

通期業績予想を上方修正、コア営業利益50億円増加の1010億円

 日本酸素ホールディングス(日本酸素HD)の2022年3月期第3四半期連結累計期間の決算(IFRS)は、売上収益6915億3500万円(前年同期比16.8%増)、コア営業利益763億1600万円(同26.2%増)、営業利益762億5600万円(同20.7%増)、親会社の所有者に帰属する四半期純利益501億3600万円(同34.3%増)となった。

 通期業績予想を上方修正し、売上収益が従来予想から670億円増の9320億円(前年同期比13.9%増)、コア営業利益が50億円増の1010億円(同15.8%増)、営業利益が45億円増の1010億円(同13.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益が88億円増の670億円(同21.3%増)とした。期末配当予想は前回予想を維持し、1株当たり16円。

 修正の理由は、日本・米国・欧州・アジア・オセアニア各地域のガス事業を合わせた売上収益は、世界経済の回復に伴う販売数量の増加、エネルギーコストの上昇に伴う販売価格上昇、米ドル・ユーロ・豪ドルを中心とした円安の為替影響による。これに伴い、コア営業利益及び、営業利益も計画を上回る見通し。

 一方でサーモス事業の売上収益及び、セグメント利益は、計画を下回る見通しで、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により、日本及び、アジア域内で政府による非常事態宣言や感染拡大防止措置等が継続されていることによるとしている。

 この結果、当期利益及び、親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加や法人所得税及び、支払い利息の減少により、増益を見込む。

 グループの事業環境は、前期に続き新型コロナウイルス感染症の収束の見通しは立っていない状況であるが、欧州や米国を中心に経済回復がみられ、セパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期に比べて大きく増加した。

 当第3四半期連結累計期間での新型コロナウイルス感染症による業績への影響は、売上収益及びコア営業利益に前期ほどのマイナスの影響は受けていない。一部の事業活動への影響は継続しているものの、グローバル各極においては、セパレートガスの安定供給体制を維持した。

セグメント業績

セグメント利益はコア営業利益で表示。

① 日本ガス事業

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益は、全般的に関連業界での生産活動が回復し、前期に比べ大きく増加したことに加え、LPガスでは出荷数量が減少したものの、仕入価格が大幅に上昇したことで販売単価も上昇し、増収となった。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの販売は堅調で増収。機器・工事の産業ガス関連では、医療向け関連機器の販売が好調で、エレクトロニクス関連も、前期に比べ増収となった。
 売上収益は、2667億5500万円(前年同期比 9.0%増加)、セグメント利益は、224億7400万円(同 15.0%増加)。

② 米国ガス事業

 産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの売上収益は、バルクガスを中心に生産活動の回復により、大きく増加した。また、炭酸ガスの販売も好調だった。機器・工事では、前期に需要が冷え込んだ溶接・溶断関連機材が回復し、大幅に増収。また、エレクトロニクス関連での売上収益も増加した。
 売上収益は、1642億3600万円(前年同期比 17.8%増加)、 セグメント利益は、204億3900万円(同 28.5%増加)。

③ 欧州ガス事業

 前期は新型コロナウイルス感染症の拡大による深刻な影響で、主要地域となるイベリア、ドイツ、イタリアでは、生産活動全般で停滞が生じたことにより、全般的に需要は大きく落ち込んだが、前期の後半から徐々に回復基調が続き増収となった。
 売上収益は、1492億4900万円(前年同期比 28.7増加)、セグメント利益は、194億3000万円(同34.4%増加)。

④ アジア・オセアニアガス事業

 産業ガス関連では、関連業界での生産活動が回復したことで、主力製品であるセパレートガスの売上収益は増加した。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、仕入価格の上昇による販売単価の上昇と出荷数量が堅調に推移し、増収となった。エレクトロニクス関連では、東アジアでの電子材料ガスは増収となった。機器・工事では、産業ガス関連で増収。
 売上収益は、907億8200万円(前年同期比21.9%増加)、セグメント利益は、97億3400万円(同27.2%増加)。

⑤ サーモス事業

 サーモス事業は、日本では、ケータイマグやスポーツボトルの出荷数量が前期から回復し、売上収益は大きく増加した。また、自宅で過ごす時間の長い新たなライフスタイルが浸透したことに関連し、前期に続き、フライパンやタンブラーの販売数量は増加。海外では、販売地域での景気回復により出荷数量は増加した。
 売上収益は、203億6100万円(前年同期比 15.5%増加)、セグメント利益は、49億5300万円(同 40.7%増加)。