エア・ウォーター北海道が大樹町と包括連携協定を締結

宇宙産業とバイオエネルギーの開発を軸とした地域振興で

 エア・ウォーターのグループ会社であるエア・ウォーター北海道株式会社(代表取締役社長:加藤 保宣)は、北海道大樹町(町長:酒森 正人)と、地域の活性化及び住民サービスの向上を目的とする包括連携協定を2023年3月3日付で締結した。

締結式の様子(エア・ウォーター北海道 加藤社長(左)と大樹町 酒森町長)
締結式の様子(エア・ウォーター北海道 加藤社長(左)と大樹町 酒森町長)

背景と目的

 大樹町は、冷涼な気候を活かした酪農が盛んな町であると同時に、町域の東・南側が太平洋に面した好条件のロケット射場候補地であることから、30年以上にわたり官民一体での「宇宙のまちづくり」が行われてきた。

 エア・ウォーターグループは、産業ガス・エネルギー供給に関する知見を活かし、大樹町を主体に宇宙事業の本格的な推進に向けて設立されたSPACE COTAN㈱や周辺の航空宇宙関連企業とともに、ロケット燃料となる酸素やメタンなどの製造、貯蔵、運搬から使用方法に至るまで、さまざまなニーズに応えている。

 また、2022年10月には、町内の酪農家が飼育する乳牛のふん尿を原料に、LNG代替燃料「液化バイオメタン※1」を国内で初めて製造し、現在は、このバイオ燃料を大樹町から打ち上げるロケットの燃料として供給することを視野に入れるなど、新しい地産地消のエネルギー供給モデルの構築を進めている。

 こうした中、航空宇宙産業の集積が進む大樹町に対して、これまでも企業版ふるさと納税※2としての寄付や、SPACE COTAN㈱への出資などを行ってきたが、より一層、地域の活性化や住民サービスの向上に資する協業を行うことを目的に、包括連携協定を締結した。

 今後は、ロケット燃料に関する実証試験やロケット射場設備の整備に関連した連携だけでなく、町の主産業である酪農をはじめとした一次産業、さらには健康、防災など生活者に身近な分野においても、双方が互いの資源や特色を活かした協業を通じて、地域の社会課題解決に貢献していく。

事業内容

  1. 新エネルギーや省エネルギー及び環境に関すること。
  2. 地域産業の振興に関すること。
  3. 航空宇宙の推進に関すること。
  4. 観光の振興に関すること。
  5. 健康づくりに関すること。
  6. 教育に関すること。
  7. 地域防災に関すること。
  8. 前各号に掲げるもののほか、前条の目的を達成するために必要な事業に関すること。

※1 「液化バイオメタン」は、酪農家が保有するバイオガスプラントから発生した未利用バイオガスを回収した後、その主成分であるメタンを分離・精製し、約-160℃で液化したもの。メタンは液化することにより容積を1/600に圧縮できるため、一度に大量のメタンを輸送することが可能になる。また、家畜ふん尿が原料のため、カーボンニュートラルな国産エネルギーです。現在、工場やLNGトラックへの燃料供給の実証を進めている。
 なお、酪農が盛んな地域においては、家畜ふん尿や未利用バイオガスの有効活用が大きな課題となっている。液化バイオメタンの普及により、バイオガスの有効利用が加速し、域内のメタン発酵設備の導入が進むと、家畜ふん尿に起因する臭気や水質汚染などの減少にもつながる。

※2「企業版ふるさと納税」は、内閣府が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクト(地域再生計画)に対して企業が寄附を行った場合に、税額控除の措置が適用される仕組み。